<高校野球春季北海道大会:駒大苫小牧7-2北照>◇2日◇決勝◇札幌円山

 駒大苫小牧がセンバツ8強の北照を下し、6年ぶり4度目の優勝を決めた。2回、先制打を放った小山功太二塁手(3年)が、相手暴投で二塁から一気に生還。04年夏の甲子園制覇から生き続けるチームスローガン「勝利への執念」を実践した好走塁から流れをつくり、昨秋の全道決勝で敗れた難敵に雪辱した。04年夏の全国制覇時の主将、佐々木孝介監督(26)が09年秋に就任後、初の全道制覇。07年以来の夏甲子園出場に向け、弾みをつけた。

 全国にその名前をとどろかせた「駒苫」が、再び全道の頂点に立った。昨秋、全道決勝で敗れた北照を下し、駒大苫小牧ナインは笑みをこぼし、ねぎらい合った。高橋一真主将(3年)は「秋負けた悔しさを胸に冬場、何が足りないかを考えて練習してきた結果です」と胸を張った。

 チームスローガン「勝利への執念」を実践し、勢いに乗った。1点を先制した直後の2回1死二塁。先制打の小山に迷いはない。相手暴投で三塁ベンチ方向のバックネットに転がる球に対し、取りに行くのが遅れた捕手の動きを見逃さなかった。ちゅうちょすることなく、一気に本塁へ。ヘッドスライディングで生還した。

 右手で拳をつくり雄たけびを上げた小山は「足にはあまり自信はないけれど、相手のスキをついて、ただ点を取りたくてホームに行った」。2得点目で主導権を握り、いったんは同点に追いつかれたが、5回は3本の長打で勝ち越し。全道4戦無失策の堅守も光ったが、佐々木監督は「走者もコーチも判断は良かった」。小山の好走塁がチームを活気づけた。

 苫小牧市内の学校グラウンドのバックネット裏に掲げられた横断幕には「勝利への執念」の文字と隣り合わせに「全国制覇」の文字が刻まれている。甲子園で初優勝した04年からのスローガンだ。「1球1球に対しても執念を持って練習している」と高橋主将。決勝でも一瞬のスキを突く執念の走塁で、その姿勢を示して見せた。

 3季通じて道大会制覇は07年夏以来。久々の頂点だが、本当の勝負が夏にあることはナインも分かっている。「甲子園に行って優勝したい」と口をそろえる。再び光り輝く夏の大甲子園へ。高橋主将は「またここから練習していく」と気を引き締めていた。【保坂果那】