ヒットマンが復調気配や。阪神マット・マートン外野手(33)がV打を含め、今季初の猛打賞だ。6回無死二塁で右翼へ先制の適時二塁打。今季チーム1イニング最多6点の猛攻を切り開いた。さらに7回に中前安打を放つと、9回にも再び中前安打。不振から脱出の予感。5回に火災報知機が鳴るハプニングがあったけれど、猛虎打線復活の警報だったりして。

 広島の右翼手、鈴木誠が前方のライナーにグッと左手を伸ばす。地面スレスレ数センチの攻防。ライナーはグラブから逃げ切り、真っ赤な右翼席の悲鳴を楽しみながらフェンス方向に転がった。マートンで先制。ここ数年おなじみの光景が、妙に懐かしく感じられた。

 マートン チャンスを作っても点に結びつかない場面が続いた。ずっと抑えていた能見さんのためにも早く点を取りたかったんだ。

 0-0の6回表無死二塁。2番手永川に1ボール2ストライクと追い込まれ、外角高めフォークを右方向に押し込んだ。先制二塁打から、この回6点。負ければ単独最下位に落ちていた一戦を快勝に導いた。

 4月はメモリアルな月だ。5日は長女メイシーちゃんの5歳誕生日。愛娘には自転車を贈った。さらに明日28日は長男マイカ君の6歳誕生日。2週間前の13日、神戸市内の自宅で2人のバースデーパーティーを開催した。もう、メンバーは家族だけではない。「2人とも日本でもたくさんの友達を作ってくれている。彼らも駆けつけてくれたよ」とニッコリ。子供たちは懸命に、異国の地になじもうとしてくれている。パパも負けてはいられない。

 22日DeNA戦の3打席目まで自己ワーストの23打席連続無安打。今季やや拡大したように映るストライクゾーンに苦戦し、気力の低下も心配された。一時は先発落ちの可能性すら浮上。ただ、陰の努力を怠っていたわけではない。試合後はDVDで入念に打席を復習。ボールがベース板の上を通っているかどうか、日々確認を行っていた。

 この日は5打席のうち4打席でファーストストライクをスイングし、3安打で今季初の猛打賞を記録。アウトになったものの、果敢に次の塁を狙った。5番から6番に降格して3戦目。気力を体現するプレーが続き、指揮官もひと安心だ。

 和田監督 昨日、今日は非常に気持ちが入っていた。集中すれば、これくらいの打撃をする。居心地のいい打率、状態があると思う。早くそこに落ち着けるようにいってほしい。

 球史に残る安打製造機に2割台前半の打率は似合わない。ようやく本格稼働の気配。休憩なしの快音連発といきたい。【佐井陽介】