巨人福田聡志投手(32)が野球賭博に関与していた問題を受け、球団は6日、所属する全スタッフ、職員に対して事情聴取を行うことを決めた。賭博行為への関与、賭博常習者との接触などの有無を徹底的に確認する。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦が10日に迫っており、調査は可及的速やかに行う。チームはこの日からCSに向けた練習を再開。白石興二郎オーナー(69)が東京ドームを訪れ、緊急集会が開かれた。

 野球賭博に関わる問題で、福田、笠原の在籍2選手が謹慎処分となった。先輩たちが長い時間をかけ、苦労を重ね培ってきた盟主の誇りが、一瞬にして打ち砕かれた。東京ドームの全体練習前、白石オーナーが緊急集会を開いた。沈痛の面持ちで「オーナーとして責任を感じている。野球を応援してくれている多くのファン、国民の信頼を裏切ってしまった」とわびて、続けた。

 「巨人軍の創設者である正力松太郎は『巨人軍は紳士たれ』との訓示を残した。今回のケースは、ジャイアンツの家訓に反する。深く反省し、精進を」

 巨人軍の看板に深い傷がついた。球団には「CSを辞退したらどうか」「高校野球では、出場を見合わせるケースがあった」など、多くの抗議が寄せられた。一方で「こういう時だからこそ頑張れ」との、ありがたい声もあった。強い逆風を受け止めて短期決戦に向かう。

 疑いは徹底的に排す。集会に同席した久保球団社長は「1、2軍、職員を含めて全員にヒアリングをする。賭博などに誘われたことはないか。賭博常習者と関わったことはないか。CS前までに終わらせる」と話した。金品の授受、チーム内でうわさを耳にしたことがないかなど、管理責任者が手分けをして事情聴取する。新たな事実が判明すれば当然、速やかに公表、対処しなくてはならない。身内が身内を問う。透明性を高めるために、残念極まりない聴取を行う。

 選手たちは3時間30分、練習に没頭した。10日のCS初戦まで本拠地にこもって雑音を封じ、相手を迎え撃つ。原監督は、普段に増して大きな声で選手にハッパをかけた。「心を痛め、事の大きさをしっかりと受け止めています。何というか…。気を引き締めて取り組んでいきます」と言って、少し間を置き、再び口を開いた。「監督として、心が痛い。何とかこれを機に、原因を究明していただいて。プロとして、ジャイアンツの戦いができるようにしたいだけです」。戦に集中する。【宮下敬至】