ヒヤリとしたのは大山悠輔が走者・石伊雄太と交錯した場面か。1回裏、逆転を許した直後だ。石伊の遊ゴロを処理した小幡竜平の送球がそれてしまう。これを捕球した大山は石伊にタッチ。そのとき石伊の腕が大山の顔に当たり、痛そうにしゃがみ込んだのだ。

ちょうどプロレスの“ラリアット”のような形での接触になってしまった。幸い、大事には至らず、プレーに戻った大山だが1回表には死球も受けており、なんとも厄日だ。チームとしても近本光司が離脱中で故障には少々、過敏になっているだけにヒヤリとしたのである。

プロレスのたとえを出したので少し書けば、最近の阪神はちょっと“プロレス風”かも…ということだ。「相手の力を引き出してから、勝つ」。そんなポリシーを持っていたのはアントニオ猪木だ。

子どものころ、テレビにかじりついて見た猪木の試合である。大人になってからそんな話を聞いて、観客の目を前提にしたプロのスタイルを貫いていたのか、と感じたものだ。

もちろんプロレスとプロ野球はいろいろな意味で違うのだが阪神はここのところ、最初に負けている。これまで無敗だった中日に、この日、逆転負けを喫したがこれでカードのアタマは1分けを挟んで4連敗となった。過去はこんな感じだ。

4月21日 DeNA●

同月25日 広島△

同月28日 ヤクルト●

5月1日 巨人●

そしてこの日、中日3連戦の初戦も黒星発進となった。

それでも21日のDeNA戦以外はその後にしっかり勝って、首位付近に止まっている。虎党だけでなく、野球ファンにとっても面白い展開にしている気もするのだが、打線を中心に強さを発揮する今季にしては、結構、興味深い傾向かもしれない。

“入り”がよくないということで、もう1つ。この日は1回に3点を先制したが先発・門別啓人の乱調ですぐ4失点を喫し、逆転を許した。ここまで阪神のイニング別失点でワーストは「1回」の24失点だ。もっとも得点も最多は「1回」の24得点だ。いずれにしても先発投手の立ち上がりが難しいということがハッキリ見てとれる。

というわけで早川太貴も入りは慎重にいきたいところ。だが慎重過ぎてもいけないし、注目だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 1回裏中日無死、遊ゴロの石伊雄太は一塁手前で一塁手大山悠輔(右)と接触(撮影・加藤哉)
中日対阪神 1回裏中日無死、遊ゴロの石伊雄太は一塁手前で一塁手大山悠輔(右)と接触(撮影・加藤哉)