ソフトバンク工藤公康監督(52)が初参加のドラフト会議で大仕事だ。高校生NO・1右腕、県岐阜商・高橋純平投手(3年)の交渉権を獲得。中日、日本ハムと3球団の競合で、残りくじを引く際に「しっかり選べ」のかけ声に動揺しながらも、しっかり当たりくじをつかんだ。「黄金の右手」伝説を継承し、24日からの日本シリーズに弾みをつけた。
ドラフトの主役もソフトバンクだった。1位指名した県岐阜商の高橋は、最多の3球団競合。工藤監督はくじの入った箱をじっと見つめた。そして念じた。
「真ん中が残れ!」
その通りになった。直前にファンから「しっかり選べよ」の声が飛んだ。「残り1つしかないのに…。動揺して、落としちゃったよ」。1度はクジをつかみ損ねた。それでも王球団会長から継承した「黄金の右手」でつかむと、左手でガッツポーズ。「当たってくれ、と思って、引いた。マウンドに立つより、緊張した。うれしかった」。クジ運のなさを嘆いた指揮官だが、勝負師の気迫で逸材との縁を結んだ。
即戦力よりも将来性を重視したドラフト戦略。工藤監督の思いも同じだった。次世代のエース候補になることは確実。期待の言葉はあふれんばかりだった。
「ホークスのエース、日本を代表する投手になってほしい。彼の能力からすると、その可能性は十分。何十年投げても、壊れない強靱(きょうじん)な体を作ってほしい」
今季は武田がチームトップの13勝を挙げた。来季を見れば、千賀や岩崎、東浜ら先発ローテーションに割ってはいる素材はいる。高橋はその中でも大きな柱になる素質を秘めている。
高橋は今夏に左太もも痛に苦しんだが、コンディションに精通する指揮官は問題にしなかった。「良くなっていると聞いているし、故障箇所を見ても、心配するところではない。鍛えれば、再発しない可能性は十分にある」。今ドラフト最大の目玉には、大きく飛躍するための最高の環境が与えられる。
「一緒に野球をやろう!」。工藤監督はテレビを通して、高橋に呼びかけた。育成手腕も発揮しているだけに、早期の1軍昇格も夢ではない。球団が掲げる「V10」の悲願をかなえる使者がまた1人、加わった。【田口真一郎】



