阪神が今季海外FA(フリーエージェント)権を取得したソフトバンク松田宣浩内野手(32)の調査を行う方針であることが29日、分かった。主軸を打てる右打ち内野手が不足しているチーム事情から動向を注視していく。FA権行使となれば、2年連続日本一の常勝軍団を引っ張った大型内野手へ、アタックを掛ける可能性も出てくる。

 金本新監督を迎え、新たな船出をした猛虎が、今オフFA市場の目玉とも言える大物選手を注視している。関係者によれば、球団は今季、海外FA権を取得したソフトバンク松田の獲得調査を行う方針だという。絶対的な三塁レギュラーの不在、得点力不足という悩みの解消へ、松田の動向を慎重に調べていく。

 松田は滋賀県草津市の出身で、子供の頃から阪神ファンだったという。05年に希望枠でソフトバンク入団後は三塁手として、時にはクリーンアップを任され、持ち前の勝負強い打撃で黄金時代構築の中心的存在になっている。今年は6月に米大リーグを含む国内外への移籍が可能な海外FA権を取得。シーズン成績は2割8分7厘、35本塁打、94打点。リーグ連覇、2年連続日本一へ大きく貢献した。

 一方で阪神は今季、三塁手は主に西岡、今成、新井らが務めたが、レギュラーとして固定できる選手はいなかった。また、マートンの退団が確実で、浜風の吹く甲子園で有利な右の強打者が1人減ったという事情がある。今シーズン最大の課題だった得点力不足解消のためにも、長打力と無類の勝負強さを誇る松田の存在がクローズアップされているという。

 関係者によれば、今後は幼い頃、阪神ファンだったという情報のある松田の動向を慎重に調査していく方針。その上で、FA権を行使するとなれば、獲得に名乗りを上げるかを本格的に検討することになりそうだ。外国人選手や他の補強とも兼ね合いもあるが、他球団との交渉が可能な状況になれば、動く可能性は高いという。

 長期的視野での猛虎改革を託された金本監督だが、就任1年目から「勝ちにこだわる」と、育成のために勝利を度外視することは絶対にしないと強調している。初年度から勝負すると覚悟を決めている新監督のために、球団側も全面バックアップの姿勢だ。

 最終判断は松田本人の動向、調査の結果、さらには金本新監督の意向も含めてのものとなるが、FA宣言となれば、松田の生まれ故郷でもある関西の人気球団が名乗りを上げる可能性も出てくる。

 ◆松田宣浩(まつだ・のぶひろ)1983年(昭58)5月17日、滋賀県生まれ。中京-亜大を経て05年大学・社会人ドラフト希望枠でソフトバンク入団。右の強打者として3年目の08年レギュラー定着。11、13、14年ゴールデングラブ賞。13年WBC日本代表。今季公式戦で3度目の全試合出場を果たし、自身最多となる35本塁打(今季パ2位)、94打点を挙げ優勝に貢献。14年国内FA権取得。180センチ、89キロ。右投げ右打ち。今季年俸2億2000万円(推定)。