絶景かな、絶景かな。ロッテ石川歩投手(28)が6回2/3を10安打1失点でリーグトップタイの6勝目を挙げた。再び規定投球回に達し、防御率は1・16で堂々のリーグ単独トップに躍り出た。負ければ3位転落の可能性もあった一戦で、チームの連敗を3でストップ。3年目を迎え、安定感に磨きがかかっている。

 石川はお決まりの一言でお立ち台を締めた。五右衛門の愛称にちなみ「絶景です!」と叫んだ。今季からQVCマリンに設置されている音量計は110デシベルを記録。自己最高(106デシベル)を更新し、喜びを表した。

 本調子ではなかった。3者凡退は1イニングだけ。直球がシュート回転した。「感覚が良くない。直球が狙ったところに行かなかった」。その分、洞察力で切り抜けた。6回2死一、三塁。わずか1点リードで、2安打されている阪神高山を迎えた。2回はシンカー、4回は真っすぐを打たれていた。「田村が打者の頭にないものを選択してくれた。自分もそうだった」と、バッテリーでカーブで一致。低めに落とし込み空振り三振を奪った。

 最後は7回2死から1点を失い、一、二塁と走者を残して降板。「満足はしていません」と口にしたが、再び規定投球回に達し、防御率1・16。今季はまだ1試合に2点以上取られていない。自身初の同一シーズン4連勝も記録した。

 安定感の源には、日々の心がけがある。「今年は健康に気を付けています。それが、つながっているのかな」と明かした。独身だった去年までは抜くこともあった朝食をちゃんと取るようにした。味の違いにこだわりを持ち一升瓶をあけるほどの日本酒好きだが、軽く口にする程度に減らした。「長くやっている人は、飲まない人、多いですよね」。体へのいたわりが、成果として出ている。

 僅差の逃げ切りに、伊東監督は「連敗を止めた。ひと安心」と漏らした。立役者の石川は「次は万全の状態で、しっかり投げたい」と誓った。結果だけでは物足りない。3年目を迎え、質にもこだわる立場になっている。【古川真弥】