ロッテ清田育宏外野手(30)はファンの拍手に包まれた。2-1の6回1死一、二塁。ヤクルト原樹のシュートを捉え、2人をかえす左翼線二塁打を放った。本塁返球の間に三塁を狙ったが、転送され惜しくも憤死。必死のアピールも実らない。結果的に走塁ミスも、スタンドの反応は優しかった。「僕はセーフと思ったけど、反省します」と悔しさを押し隠した。

 試合前の時点で、規定打席到達者でリーグ最下位の打率2割1分7厘に沈んでいた。2回に連続無安打を15打席で止める中越え二塁打。4回には勝ち越しにつなぐ右前打で、最後は2連勝を引き寄せる2点適時打。「監督が打てなくても使ってくれた」と感謝した。

 その伊東監督の予言が当たった。試合前にティー打撃を直接指導し「重心を下げろ」と助言。スタッフに動画を撮影させ、その場で清田本人に確認させた。指導を終えると「内容は紙一重。大丈夫。打つよ」と断言。その通りとなった。

 清田は「重心を下げて、球の見え方が違った。監督に『絶対打てる』と言われて、打ってやろうと思いました」と感謝が尽きなかった。昨季は打撃開眼も、今季は開幕から不振。「苦しいですよ。こんなに打てないことはなかった」と漏らしたことも。それでも、伊東監督に「調子が上がるまで使う」と言われ、涙が出そうになったという。ようやく期待に応えたが、油断しなかった。「次が大事」と自らに言い聞かせていた。【古川真弥】