打球は燕党が待つ右翼スタンドに届いた。同点の7回先頭。ヤクルト大引が試合を決めた。西武2番手・野上の144キロ直球をフルスイング。3打数無安打で迎えた第4打席で、決勝の2号ソロをマークした。今季交流戦初となるカード勝ち越し&交流戦最下位脱出へ導く活躍。文句なしで今季初のお立ち台へ上がった。

 大歓声で盛り上がる新宿区の神宮球場。ところが大引は、下を向いたままだった。第一声は「本塁打は記憶にございません」。都庁から約5キロ離れた場所で例の“会見”が行われた。「ファンの皆さまの第三者の目で判断していただければと」。言うまでもなく、21日付で辞職する舛添都知事のパロディーだった。

 マーリンズ・イチローや中日大野も“ネタ”にしたフレーズ。大引も「ウケを狙いました」と“時の人”にあやかった。数日前に、同僚の荒木や三輪と「ネタにしよう」と話し合っていた。球場からクラブハウスに“会見”の場を移し「自己採点では50点。ファンの厳しい第三者の目で判断してもらえれば」と、またしても下を向いたヒーロー。最後に「この数日、考えましたが、あまり政治には興味ないので都知事には立候補しません」。逆襲の立役者に立候補する気は、きっとあるはずだ。【栗田尚樹】