プロ初完封じゃ~! 広島戸田隆矢投手(23)が9回8安打無失点でプロ初完投、初完封。無傷の4勝目をマークした。序盤に大量のリードをもらい、丁寧に組み立てた。ここ2戦連続でKOされていたが、意地を見せた。2軍では大瀬良や福井が虎視眈々(たんたん)と1軍を狙い結果を残している。死に物狂いの戸田が答えを出した。
「ツメの手入れをしなさい。投手なんだから」。戸田の耳には黒田の助言が深く残っている。感覚重視で長めが好みだったが、何度も指先のアクシデントに襲われてチャンスを逃した。分かってはいた。ただ、レジェンドに言われると重みが違った。「無頓着ではなかったんですけど…。あらためて感じました」。プロ初完封。ボールは最後の最後まで指にかかっていた。
「内角をしっかりつけたと思います。後がない立場なので、逃げずに気持ちを出していけた。うれしいですけど喜びは今日まで。次の試合に備えたい」
6月26日阪神戦で左手中指にアクシデント。3回で降板した。試合後は左手を隠し「あってはいけないこと。大丈夫です」。その後、黒田の助言を受けて治療に専念。指先の皮を固くするための光線を1時間半にわたって当てた。「出来ることはやりました」。翌週のDeNA戦(横浜)では結果を残せなかったが、指先の感覚は戻っていた。
思えばキャンプ中もマメをつぶして離脱した。同じ失敗はこれ以上繰り返せなかった。2軍には福井、大瀬良が好投を続け、中村恭らもローテーションのイスを狙っている。2戦連続でKOされ、これがラストチャンス。プロ最多の140球を投じても「めったにないこと。完封を意識しました。2戦連続で中継ぎに迷惑をかけていた。1人で投げる」とマウンドを譲らなかった。
1人旅でも気持ちを切らさず長い腕を体に巻き付けるように振った。捕手会沢にも導かれ前半、後半で軸のボールを変えた。9回は力を振り絞って直球で押した。最後の打者西岡を中飛に打ち取ると、両手を合わせ「ありがとうございます」とお辞儀。並べた9個のゼロで、ローテ生き残りを勝ち取った。
力投でチームを今季5度目の同一カード3連勝に導き、貯金は今季最多の19。阪神戦の連勝を4年ぶりの7まで伸ばした。緒方監督も「今日は戸田でしょう。最後までいいボールがいくんだから」と最敬礼。登板機会がないため出場選手登録を抹消されるが、指揮官は後半もローテで回すことを決めた。明日12日からは前半戦最後の巨人2連戦。コイが口をあけて迎え撃つ。【池本泰尚】



