「ON」のバットが逆転優勝への号砲を打ち上げた。自力優勝消滅から一夜明けた日本ハムは初回、大谷翔平投手(22)が先制適時打、続く中田翔内野手(27)が23号3ランを放った。これが呼び水となり6安打6得点の猛攻で、前夜逆転負けの嫌なムードを一掃した。首位ソフトバンクも勝ったため、ゲーム差は1・5のままでマジックは19に減ったが、鷹の逃げ切りは絶対に許さない。

 逃げる王者を離さない。初回から日本ハムが誇る「平成のON」が体現した。初回無死一、三塁で、3番大谷がフルカウントから変化球をとらえて先制の左前適時打。4番も続いた。中田が141キロ直球を、右手の押し込みも利かせて逆方向の右中間スタンドへ運ぶ23号3ラン。「早い段階で点が取れて良かった」と主砲が喜べば、理想的な速攻劇に大谷も「自分が打った後に中田さんも打ってくれて、いい攻撃になった」と、うなずいた。

 前夜の敗戦でチームは自力優勝の可能性が消滅した。この日もデーゲームで首位ソフトバンクは快勝。勝たなければいけないプレッシャーを、中田はアドレナリンに変えた。試合開始直前には雨が降りだし、プレーボールが20分遅れた。ベンチで待機中は仲間と談笑。高まる気持ちを、きっちりコントロール。「ゲームが始まってなかったからね。何の影響もなかったよ」。雨上がりの夜空へ爽快なアーチを描いた後も断続的な雨に「中止にならないで」と祈り、通じた。

 7月31日ソフトバンク戦から3番大谷、4番中田の並びで28試合を消化した。大谷が投手として離脱したことで生まれた打線強化の副産物だったが、投手復帰は間近に迫っている。今日4日にブルペン入りを予定。「ゲームに向けての調整です」と、雨天中止がなければ6日ロッテ戦(旭川)で先発復帰を予定している。そんな中で、中田の復調が心強い。ここ7試合で6本塁打12打点の荒稼ぎ。3年連続100打点まで、あと2と迫るなど勝負どころで存在感が増している。

 8月下旬は生みの苦しみを吐露していた。「差し込まれて、詰まっているんだけど、右手で押し込めている“凡退”は増えているんだよ」。独特の言葉で表現していた復調気配。ついに結果で示し始めた。栗山監督は「これからが勝負なんだ。(首位に)くっついて行くしかないから」と、声を大にする。中田も、思いは同じだ。「今は、相手を気にせず、1戦ずつ勝つことを考えるだけ。どうしても意識してしまうけど、変に意識せずにやれば、いい結果は付いてくる」。残り20試合。しびれる試合を戦いきる先に歓喜の瞬間が訪れることを信じて、前に進み続ける。【木下大輔】

 ◆中田の最近10試合 8月24日ロッテ戦から3日オリックス戦までの10試合で、中田は42打数15安打15打点で打率3割5分7厘をマーク。とくに本塁打は27日西武戦から7試合で6本と固め打ち。7月末現在の通算打率は2割4分5厘で、8月後半から復調の兆しをみせている。