阪神が今秋ドラフトの超目玉右腕、創価大・田中正義投手(4年=創価)を徹底マークすることが5日、分かった。田中は今春に右肩痛を発症。すでに実戦に復帰し、10日の高千穂大戦が今秋リーグ戦初登板予定。虎は最速156キロを誇る田中の右肩の状態を見極めるため、登板全試合を密着マークする。

 「本命」の気がかりな点を徹底的に見極める。阪神が創価大・田中の密着マーク態勢に入る。10月20日のドラフト当日直前まで全登板のチェックを予定。早い段階からドラフト1位候補の筆頭として名前を挙げてきた即戦力右腕を、最後の最後まで追いかける方針を固めたのは、右肩の状態を判断するためだ。「12球団競合」とも言われた156キロ右腕だが、今春リーグ戦で右肩痛を発症。1位評価は揺るがないが、正確で細かな情報を手に入れる狙いがあり、より多くの試合を複数の人間でクロスチェックする方向だ。

 ドラフト戦略の練り直しが、田中の動向を注視する背景にある。阪神はこれまで「即戦力投手」と並行し、日大・京田陽太内野手(4年=青森山田)中京学院大・吉川尚輝内野手(4年=中京)ら次世代の遊撃手候補を挙げてきた。

 ところが今季は「超変革」のスローガンのもと、昨季まで出場1試合の4年目北條がブレーク。ここまで106試合に出場して打率2割6分7厘、2本塁打、26打点。来季以降のめどが立った背番号2の急成長により、「1位指名は即戦力投手」という総意が球団内にも出来上がりつつある。

 田中は虎のスカウトが見つめるなか、8月21日に近大産業理工学部との練習試合で実戦復帰し、3回無安打無失点に抑えた。秋季リーグ戦前最後の実戦登板となった今月3日の慶大戦では5回6失点ながら、最速153キロを計測した。

 ある球界関係者は納得顔で話す。「試合で投げていけば、肩は出来上がる。あれぐらい投げられるなら、試合を重ねれば良くなっていくと思う」。今秋、最初の公式戦マウンドは10日高千穂大戦とみられる。担当の中尾スカウトらを中心に視察予定。虎の未来を任せられるか-。熱い視線を送る。

 ◆田中正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、横浜市生まれ。小1から野球を始め投手。創価高1年秋に外野手に転向し、創価大で投手に再転向した。昨夏のユニバーシアード競技大会では初の金メダルに貢献。東京新大学リーグ通算16勝1敗。186センチ、91キロ。右投げ右打ち。

 ◆阪神の今秋ドラフト候補 高校日本代表の履正社・寺島成輝投手(3年)横浜・藤平尚真投手(3年)を高校生ではあるが、即戦力級として評価。また、同代表の広島新庄・堀瑞輝投手(3年)も上位候補としてリストアップしている。社会人では調子の波が少ない東京ガス・山岡泰輔投手(20)を1位候補として推す声もある。野手では日大・京田、中京学院大・吉川に続く内野手として早大・石井一成内野手(4年=作新学院)の評価が高い。

<創価大・田中の好投>

 ◆全国デビュー 大学2年生だった14年の大学選手権1回戦。佛教大戦で自己最速の154キロをマークし、4安打9奪三振で無四球完封の力投だった。

 ◆若手プロぶった切り 15年6月29日のユニバーシアード壮行試合で大学日本代表として若手中心のNPB選抜と対戦。7者連続奪三振を含む4回8三振で無安打無失点。楽天立花社長は「来年絶対取るよ! スカウト陣も満場一致だね。名前も(ヤンキース田中と同じ)田中だし、絶対行く!」とドラフト1年半前に早くも獲得宣言した。

 ◆プロ2軍もきりきり舞い 15年8月21日に日本ハム2軍との「プロ・大学交流試合」に先発。毎回三振の計7三振の力投で5回1失点にまとめた。日本ハム栗山監督ら首脳陣、スカウトも詰めかけた舞台。球団のスピードガンで最速153キロを計測した。