巨人が2日連続で広島の胴上げ阻止に成功した。初回に長野久義外野手(31)の自身9本目となる先頭打者弾と、村田修一内野手(35)の19号3ランで、開始わずか6分で4点を先制。先発大竹寛投手(33)は、古巣ナインがテレビ観戦する中、7回1失点の好投で意地を見せた。10日からは東京ドームで広島を迎える。本拠地での胴上げを回避すべく、一丸となって勝ち続ける。

 広島が待ち焦がれる歓喜の瞬間を、開始わずか6分で消し去った。初回。長野がプレーボール直後の初球をバックスクリーン左にぶち込んだ。7年連続の2ケタ本塁打となる9本目の先頭打者弾が号砲になった。

 1死一、二塁と好機を広げ、村田が左翼手バレンティンが1歩も動かないほど完璧な弾道を左翼席中段に描いた。19号3ランを決めた時、電光掲示板の試合経過時間は「6」と表示されていた。負ければ広島の優勝が決まる一戦。今季2勝7敗だった“鬼門”神宮で、逆転CS進出を狙うモチベーション十分のヤクルト相手に、鮮やかな速攻を決めた。それでも長野は「とにかく勝つだけなので」と強調。村田も「心境は変わらない。いつもベストを尽くすことだけ考えている」と表情を引き締めた。

 V消滅が決定的となった土俵際から4連勝。再加速の分岐点は、5連敗中とどん底だった8月30日。福井でのヤクルト戦前のミーティングで高橋監督が選手に語りかけた。関係者によると「可能性がある限り、諦めず戦う。もし諦めている選手がいるのであれば、そういう流れに向いていく」と訴えたという。

 即効薬にはならず、直後はミスを連発して4連敗も喫した。だがV消滅の現実が迫るにつれ、何度も優勝を知るG戦士から「負けたくない」という勝負師の本能があふれはじめた。この日も4点リードながらマシソンと沢村を5試合連続で投入。高橋監督も「負けられないというか勝ち続けないといけない」と執念のタクトでヤクルトを退けた。

 運命のいたずらか、勝ち続けたことで、本拠地での直接対決で、優勝阻止をかけた大一番を迎えることになった。今日からの広島2連戦では引き分けでも広島の優勝が決定。06年に中日にされて以来の本拠地で胴上げされる屈辱は味わいたくはない。長野が「胴上げは見たくない」と言えば、村田も「2つ勝ちたい」と誓った。日本中が注目する中、意地の戦いを続ける。【浜本卓也】

 ▼広島は今日10日の巨人戦に勝つか引き分ければ、25年ぶり7度目のリーグ優勝が決まる。巨人戦で優勝を決めたのは過去6チーム。52年のフランチャイズ制施行後、巨人の本拠地では75年広島(後楽園)と06年中日(東京ドーム)だけ。古葉監督の75年広島は10月15日、ホプキンスが3ランを放ち、外木場-金城が完封リレー。4-0で悲願の初優勝を決めている。