ソフトバンクが絶体絶命の危機に立たされた。天王山で2連敗。まさかの結末に、工藤監督は一塁側ベンチで唇を真一文字に結んだ。悔しさを押し殺しているように見えた。日本ハムに2ゲーム差に広げられ、今季初めて自力優勝の可能性が消滅した。「1つも負けないつもりで戦うしかない。僕だけじゃなく、選手、みんなも理解している」。悲願の3連覇に向け、もう敗戦は許されない。

 ゲームプランは少しずつ狂った。先発武田は変化球の制球が定まらず、球数が増えた。5回で100球を超え、6回表無死満塁のピンチで森福に譲った。このピンチをしのいだが、相手打線は好調。残り3イニングは長かった。7回に五十嵐が中田にダメ押しの2ランを浴びた。1点差に迫った直後とあって、工藤監督も「取った後に、取られるのは痛かった。踏ん張り切れたら、相手にかかるプレッシャーも違った」と振り返る痛恨被弾だった。

 打線も重圧の中であと1本が出なかった。4回無死二塁のチャンスから3者連続三振。4番内川も好機で不発に終わった。

 残り8試合。ここからいかに反発力を見せるか。日本一チームが瀬戸際で試されている。【田口真一郎】