<中日2-2広島>◇28日◇ナゴヤドーム

 延長12回裏2死三塁。中日荒木は、梅津の初球をひっぱたいた。ライナーが二塁手木村の正面をつく。4時間10分の激闘の幕切れは、2-2の引き分け。中日の開幕ドローは、90年大洋戦(現横浜)以来18年ぶり3度目となった。

 就任5年目で初のドロー発進となった落合監督は「これが開幕なんだろう。いくら調整しても今日の一戦は特別なものがあるんだろう。負けなくてよかった」と話した。

 球団新の6度目の開幕マウンドに立った川上は先制された直後の3回、大竹の127キロスライダーを左翼席に運んだ。推定飛距離125メートルの同点ソロ。「狙っていたわけではないけど、甘い球がきたので体が反応した」。奪われた先制点を自らのバットで取り返した。

 川上の本塁打は、05年7月29日巨人戦以来973日ぶりで、現役投手最多の8本目。投手の開幕戦本塁打は04年ヤクルトのベバリン以来11人目で13本目。中日では初めての例だった。

 初回からピンチの連続で3回に1点を先制された。「自分の悪いところは先制点を与えてしまったところ。(リードが)ウチのペースなのにそれができなかった」。本塁打の後は立ち直って、9回を9安打2失点。最低限、試合はつくった。

 昨季はキャンプ中に腰痛を患って、開幕前は連日、個人トレーナーの加藤祐介氏のケアを受けた。加藤氏は「去年はほとんど投げ込みもなかったと思う。でも今年は体を触る時間も半分以下になった」という。FA権を初取得する節目の年に「完全燃焼」を誓って準備。勝敗はつかなかったが開幕戦6試合で3勝負けなしの「不敗神話」は継続した。落合監督は「この1試合で冷静になれるでしょう。これから今日のゲームが生きるんじゃないか」と、余裕を漂わせた。【益田一弘】