<中日6-1巨人>◇16日◇ナゴヤドーム

 満塁男・中村紀が本領発揮だ。初回、同点に追いつきなお2死満塁の第1打席。カウント1-2から内海が投じた低めの変化球を左前にはじき返し、2者を生還させた。一塁ベースを回りながら、両手を7度もたたき合わせた。「シンカー。チャンスだった。追加点が欲しかった。うまく打てました。昨日上原から打ったのとよく似た球」。自画自賛の勝ち越し打だった。

 満塁で無類の勝負強さを誇る。通算成績は146打数48安打の打率3割2分9厘、147打点。満塁弾14本は、歴代1位の王貞治(ソフトバンク監督)にあと1本と迫る現役最多だ。「ホームランなら日本タイだった?

 そんな球は来うへん」。狙っていいときは一発を狙い、確実に打点が欲しいときはコンパクトに振る。勝負強さに状況判断能力が加わり、驚異の数字を残している。

 打たなければならない理由もあった。この日の先発は2年6カ月ぶり先発の川井。初回を最少失点で切り抜けたが、不安な立ち上がり。早く援護してもり立てる必要があった。

 4回の第2打席でも内海から右前打を放ち、2安打2打点。マルチ安打は早くも5度目だ。「あしたもがんばります。勝ちます」。試合後も鼻息は荒かった。【村野

 森】