<日本ハム2-4ソフトバンク>◇20日◇札幌ドーム

 昨オフ、左ひじ手術を受けたソフトバンク和田毅投手(27)が、完全復活を印象付ける今季初勝利をマークした。今季3度目となった先発マウンドで、日本ハム打線を相手に7回1/3を6安打2失点。完封目前の8回にソロ本塁打を2発浴び、無念の降板となったが、7三振を奪う力投でチームを勝利に導いた。これでチームの勝率も、わずか1日で5割に復帰。入団から5年連続2ケタ勝利を継続中の頼れる男がホークス投手陣に帰ってきた。

 野球の神様は、最後まで和田に試練を与えた。8回1死。ここまで日本ハム打線を散発4安打無失点。「完封してやるという気持ちでいました」。戦列復帰後の初勝利を完封で飾る青写真を、和田自身もマウンド上で描いていた。だが、田中、稲葉に連続でソロ本塁打を献上。いずれも直球を打たれてのものだった。「自分の球を過信したのかもしれません」。試合後、苦笑いを浮かべ振り返ったが、それほどこの日の和田の直球には威力があった。

 最速は138キロ。平凡な球速に感じるが、ホームベース手前でグンと伸びる。キレのある球で、日本ハム打線をてこずらせた。「自分の思う球がいってました。とくに中盤以降は、球が走っているのが自分でも分かった」。この日奪った22個のアウトのうち、18個が直球で打ち取ったもの。終盤の7回1死一塁のピンチでは、19日の試合で決勝本塁打を放っていた佐藤を、高めの136キロ直球で空振り三振。続く高口も135キロの内角直球で完全に詰まらせ、無失点でしのいだ。

 本来の直球がよみがえったのは、今季初登板となった6日のロッテ戦(千葉マリン)後だった。和田の専属トレーナーを務める土橋氏が、通常のカメラの約8倍の遅さで再生できるハイスピードカメラを球場に持参。術後初の復帰戦を撮影し、試合後に投球フォームを確認したところ、ある“欠点”が確認された。「(手術明けで)無意識のうちに左ひじをかばう投げ方をしていた。人間の本能なので仕方ないが、もっと腕を振れと伝えた」(土橋氏)。翌13日の西武戦では、6回2/3を7安打4失点と打ち込まれたが、和田は「1年目のような自分のイメージする球が投げられた。低めの伸びるような球ですね」と確信していた。

 和田は昨年9月5日の楽天戦以来、228日ぶりに勝利投手となった。チームも連敗を3で止め、1日で借金生活から抜け出した。「ヒジはもう全然大丈夫です。去年のようなひっかかりもないし、明日も投げられる」とバスに乗る直前、ようやく笑みをこぼした。術後、初めて手にしたウイニングボールは「手術して初勝利だけど、これがあまり重くならないように、もっと重みのあるウイニングボールをつくりたい」とさらなる活躍を誓った。

 手術で摘出した左ひじの骨のかけらは、米粒大1つと、それよりも小さいものが3つ。痛みを忘れないようにと大事に自宅に保管している。術後の地道なリハビリ同様、この日の1勝も決して楽ではなかったが、和田にとっては忘れられない1勝となった。【石田泰隆】