<阪神8-4ロッテ>◇29日◇甲子園

 迷わず全力疾走した。阪神金本が、激走で5回の猛攻に貢献した。2点を勝ち越し、なお2死二、三塁の場面。ロッテベンチは敬遠策を選んだ。上昇気流を描いたかと思えば、勝負を避けられる。主砲が悩みを抱えるシチュエーションで、またもバットを振れなかった。だが、逆に走者での集中力を研ぎ澄ました。

 続く5番葛城の打球が右中間へ飛ぶと力強い走りでベースを蹴った。最後は左手をいっぱいに伸ばし、ホームベースをつかむように滑り込んだ。大きい7点目。先に生還した関本、新井も驚きの表情でたたえる気迫のシーンだった。試合後は後続5番の快打に「うん、これからもどんどん頑張ってください」。走塁には「三塁から足が進まんかったな」と笑顔で振り返った。

 昨年10月に左ひざ手術し、開幕にギリギリ間に合った状態。無理をしなくてもいい場面にも映るが、和田三塁ベースコーチは言った。「それだけ足の状態が上がってきた証拠。少しでも送球がそれたらセーフのタイミングだったからね。足のことでちゅうちょしたってカネ(金本)は喜ぶような選手じゃないから」。

 開幕で三塁打を打てる体を取り戻すのが、リハビリのテーマだった。さらにステップアップした一塁から本塁への激走。連続試合安打は14でストップしたが、背中でナインを引っ張る走塁が戻ってきた。【片山善弘】