中日川上憲伸投手(33)の試合復帰が9月中旬以降にずれ込む見通しであることが1日、明らかになった。川上はこの日、名古屋市内のナゴヤ球場で軽い練習を行い、2日からのヤクルト3連戦(神宮)に帯同しないことが決まった。関係者によると、背中の張りなどのため本格的な投球練習を控えているという。北京五輪で慣れない中継ぎとしてフル回転したツケは大きく、Aクラス生き残りを目指すチームはしばらくエース抜きの戦いを強いられる。

 川上は険しい表情で練習を行った。キャッチボールをする若手投手陣を横目に、黙々と1人で外野フェンスぞいをランニング。練習の最後に山井とのキャッチボールを行ったが、約20メートルの距離でゆっくりとボールを投げただけ。まるで体をいたわるように、控えめな動きだった。

 練習後は何も話さずにナゴヤ球場を後にした。関係者の話を総合すると、背中の張りなどを抱えているという。北京五輪ではチーム最多の5試合に登板。韓国との準決勝、米国との3位決定戦では2日連続でイニングをまたいで投げた。本来は中6日の登板間隔で先発するのがあたりまえだっただけに、慣れない中継ぎ生活、しかもハードな連投によってダメージが蓄積していてもおかしくない。メダル獲得への責任感“後遺症”につながった可能性は否定できない。

 8月24日に帰国してから8日たつが、いまだに本格的な投球練習を再開できていないことも気がかりだ。2軍の高橋投手コーチは「疲労がたまっているのはあるだろう」と話した。まともにボールを投げていない現状では9月上旬の復帰は難しく、中旬以降にずれ込む見込み。川上は帰国した際に「残りシーズンで自分ができること、やるべきことに全力を注ぎたい」と話しており、終盤の救世主となるためにも、しばらくは回復に努めるしかなさそうだ。

 チームは残り30試合でリーグ3位。2ゲーム差の4位に広島、3・5ゲーム差の5位にヤクルトがおり、クライマックス・シリーズ(CS)進出をかけたサバイバルレースを強いられている。故障者続出の現状では苦戦必至だが、ここぞの試合に強いエース川上が戻るまで総力戦でしのいでいくしかない。