総額約600万円の大盤振る舞いだ!

 中日山本昌投手(43)が7日、チームの裏方スタッフ約60人にオーダーメードの「200勝達成記念スーツ」をプレゼントした。8月4日巨人戦(ナゴヤドーム)で史上最年長での通算200勝を達成したプロ25年目のベテラン左腕が、日ごろの感謝を形にした。来年1月18日には名古屋市内で200勝達成記念パーティーを催して関係者に謝意を示し、来季へ再出発する。

 プロ25年目、1つのゴールにたどり着いた男の感謝の気持ちだった。正午すぎ、ナゴヤ球場にやってきた山本昌はスタッフ1人、1人にスーツを手渡した。「やっぱり日ごろ、お世話になっている人たちだからね」。練習の合間にスーツを受け取ったスタッフたちに笑顔が広がった。

 今季、山本昌は8月4日巨人戦で通算200勝を達成した。43歳。史上最年長での到達だった。プロ2年目まで1軍登板できず、5年目にはほぼ戦力外扱いで米国に留学させられた。そこから努力を継続できる粘り強さと、周囲の人の支えで名球会入りまで上りつめた。苦しんだ分だけ多くの人に支えられた。ブルペン捕手、打撃投手、トレーナーからマネジャー…。だから恩返しを企画した。シーズン中、業者に頼んで生地から裏地にいたるまでそれぞれの趣味で選んでもらい採寸。この日ようやく完成品を手渡すことができた。

 「何百万かかろうが、値段の問題じゃない」と山本昌は1着、1着の値段は明かさなかったが、業者によれば総額約600万円。桂川通訳は「こんなことをしていただけるなんて…。すごくうれしいです!」と感激していた。

 すべてのスーツの内ポケット上部には200勝を記念して「200Wins」と刺しゅうが入っている。来年1月18日に名古屋市内のホテルで「200勝達成記念パーティー」を行う予定。その時にチームスタッフが今回のスーツを着て集まってくれれば、これほどうれしいことはない。

 「オレもあとどのくらいできるかな…。(球速が)135キロ出ているうちはやろうかな!」。来季はもう1つの悲願である日本シリーズでの勝利を目指す。今月中には鳥取市内のスポーツジムでオーバーホールをかねたトレーニングを行う予定。恩返しをへて山本昌が新たな目標に向かう。【鈴木忠平】