中日落合博満監督(54)は22日、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の中日の代表候補全員が辞退したことに原辰徳日本代表監督(50)が憤慨したことを受け、40分に渡って猛反論した。秋季練習の行われたナゴヤ球場で「辞退は各選手の意思」とし、球団としてのボイコットではないと主張。辞退理由は「説明する必要はない」とし、WBC出場は「義務ではない」と踏み込んだ。サムライ・ジャパンは足並みがそろわないまま船出することになった。

 落合監督はナゴヤ球場の記者室に自ら足を運び、中日の候補選手が辞退したことへの批判に、真っ向から反論した。まず切り出したのが、辞退は組織的なものではなく、あくまで選手個々が決めたという点だ。岩瀬、森野、高橋、浅尾の4選手だけでなく、和田にも追加の打診があったことを公表。その上で全員に意思確認したことを強調した。

 落合監督

 球団や現場の主導(での全員辞退)ではないし、ボイコットしてるわけじゃない。球団も監督も行けとも行くなとも言ってない。本人らに意思を聞いたら、たまたま4人ともそういう話になった。(北京五輪代表の岩瀬と森野の)2人は『もう2度と行かない。断って下さい』と言っていた。高橋と浅尾?

 今年1年働いたわけじゃないし、途中でファームに行った連中。『不安があるので、できたら辞退させてください』と言ってきた。(台湾代表候補の)チェンは出たいと言っているから出すと思う。

 中日の辞退者だけが、その理由を説明しなかったことについても正当性を主張。シーズン中から故障について徹底的な情報規制を敷いているが、その方針をあらためて示した。

 落合監督

 (NPBからの用紙に)理由を書けとは書いていなかった。代表から紙を見せてもらったが、意思を確認する欄だけだった。こういうものに説明責任はいらないと思う。オレは理由まで知りたかったとは思わない。誰が故障しているということは言えない。医者が患者の病状を他人に言えるか?

 選考の「不公平感」にもあえて触れた。北京五輪の際に12球団最多の5人(日本選手4人)を派遣した際には何も言わなかったが、今度は違った。

 落合監督

 FAしている選手は配慮して外しているのに、日本に残る選手には配慮がない。上原や宮本は(代表を)引退しますと言っているのは許されるのか。なぜ一部の人間が(辞退)OKなのに球団もろともメッタぎりするのか、その神経がわからん。みんな出てくれると思っているのが大間違い。

 さらに代表チームのあり方、根本的な考え方にも踏み込んだ。

 落合監督

 公式戦以外のイベントへの参加の強制権はない。プロ野球選手は球団の社員ではなく、個人事業主。故障をした時の保障もないし、自分のことを考えるのは1番の権利。全部NPBがフォローしてくれるならいいけど理想論を掲げられて1番困るのは選手だ。

 1度は監督就任を打診されたサムライ・ジャパンとのギャップは、埋まりそうにない。WBCに向けて12球団が一体となる構図は、早くも崩れた。