連敗中でも、泣いてたまるか-。自力優勝が消滅した横浜田代富雄監督代行(54)は、それでも前を向いた。遠征先の福岡から空路、帰京。5連敗で借金15の苦しい状況だが、福岡空港で「渥美清の『泣いてたまるか』だな」とカラオケでの得意曲を引き出して今の心境を表した。

 60年代に放映された同題のテレビドラマを見ていたという。「おれが中学生の時かな。確かあのドラマが寅さんのきっかけになったはずだよ」と懐かしそうに振り返る。「下を向いたらアトがない。さじを投げるはまだまだ早い」という歌詞があり、弱音を吐く段階ではない意識を示した。

 交流戦から指揮を執ったが、12戦で4勝8敗。これまでは自らが大なたを振るうことはなかったが、3日のソフトバンク戦敗退後には、初めて選手の前でゲキを飛ばした。適時打欠乏症の打線には「そういうこと(外国人優先)は考えずにやる。(佐伯も)いいからね」と、好調な選手を積極起用する構えを見せた。

 まだ95試合ある。5月30日のオリックス戦(スカイマーク)敗戦後には、村田英雄のヒット曲「皆の衆」を持ち出して愚痴をこらえた。5日からの西武戦で、指揮官が笑顔で横浜に勝利の凱歌(がいか)を響かせる。【今井貴久】

 [2009年6月5日7時24分

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