<中日8-7広島>◇28日◇ナゴヤドーム

 期待の19歳右腕が大きな1歩を踏み出した。高卒2年目の中日伊藤準規投手がプロ初先発し、4回3安打2失点に抑えた。4回には1死二塁から4番栗原に2ランを許したが、チームはその裏に逆転。勝ち負けはつかなかった。ほろ苦い先発デビューとはなったが、将来のエース候補がプロ初勝利に向けて大きな経験を積んだ。

 緊張は明らかだった。序盤から制球が定まらず、決め球のカーブが何度も捕手の前でバウンドした。4回に浴びた左翼スタンドへの2ランはフォークの抜けた球だった。「あそこは絶対にホームランを打たれてはいけない場面。緊張感?

 やっぱりこれまでとは違いました」。最後まで制球に苦しんだが、四球を出さなかったことは収穫だった。

 地元愛知出身で物心ついたときから中日ファン。12歳の時には所属していた少年野球チームのコーチから立浪氏が実際に使用したバッティング手袋を所有していることを知ると、何度もねだって譲ってもらった。中日の選手としてナゴヤドームで先発マウンドに上がりたい-。穴の開いた手袋を見つめて、そんな日が来ることを夢見てきた。

 課題は残ったが、伊藤にとって10年のシーズンが“開幕”した。今後も先発ローテーションの重責を担うことは間違いない。「これで変な緊張感はとれたと思う。次は冷静に投げられると思う」。夢を1つ実現させた19歳は、次の目標であるプロ初勝利をはっきりと見据えた。【桝井聡】

 [2010年3月29日11時36分

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