<横浜4-8阪神>◇18日◇横浜

 阪神真弓明信監督(56)はメンバー交換の5分前まで金本知憲外野手(42)を先発から外すべきかどうか悩み抜いていた。残り8試合と迫った1500試合連続フルイニング出場は途絶え「寂しい」と素直な気持ちを表現するとともに、残った連続試合出場継続を求めていく構えを見せた。

 指揮官にとっても、苦渋の決断だった。試合開始40分前のメンバー交換。就任以来初めてと言っていいだろう。メンバー表を審判に手渡すことをためらった。「本当にこれでいいのか?」。4番に金本の名前がない先発オーダーを最後まで受け入れがたかった。「すごい記録ですから。これで切れるのは、寂しいと思う」。連続フルイニング出場の幕切れに、真弓監督は率直な気持ちを明かした。

 残り8試合に迫った1500試合という数字が節目、の声もあった。しかし真弓監督に、その考えはなかった。「どこまでじゃなく、1試合でも1イニングでも長くと思っていた」。偉大な世界記録を尊重する思いがある。それにも増して、金本の圧倒的な存在感が頼もしかった。主砲のフルイニング出場について、こう話したことがある。「何かで金本を上回る選手がいれば、試合途中でも代えるよ」。裏返せば、走攻守で超えられる選手がいないということ。それだけ実力を認めていた。

 この日も、ギリギリまでスタメン出場を促したという。「もうちょっとがんばろう、と説得したけど、『スタートから外してください』ということだった」。最終的に金本の決断を受け入れたのは、メンバー表提出の5分前だった。当たり前のように記されていた「4番金本」を自らの手で書き直した。試合後、勝利のハイタッチも、どこか寂しげだった。

 今後は登録抹消の選択肢を取らず、チームに帯同しながら、右肩のリハビリを行う。「打つ方はそれほど痛みがないということなので」。フルイニング出場は途切れたが、連続試合出場は継続中。8回に代打で登場したように、今後も続けて起用していく方向だ。「4番で主軸を打ってくれた選手なので、肩を早く治してもらって、ベストとは言わないが、いい状態で帰ってきてほしい」と真弓監督は願った。チームの柱に期待することは、何も変わってはいない。【田口真一郎】

 [2010年4月19日8時24分

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