元気なマートンが株主を喜ばせた。阪急阪神ホールディングス株式会社は16日、大阪市北区の梅田芸術劇場で第172回定時株主総会を開いた。3957人の株主が参加した質疑応答では、今やチームの顔となったマット・マートン外野手(28=ロッキーズ)の活躍を評価する声が上がった。これまでは度重なる新助っ人獲得の失敗など、球団批判が多かった総会だが、おかげで和やかムードに一変。抜群の成績だけでなく、球団はマートン様々です。

 質疑応答で、株主の1人が手を挙げた。「阪神の外国人スカウトは毎年失敗ばかりしてきた」。そう切り出した男性。球団批判が飛び出すかと思いきや違った。「今年はマートンが活躍している。何かスカウトのやり方が変わったのか。バクチ(的手法で補強が成功)なら来年も再来年も同じ失敗を繰り返すと思うが」。外れ助っ人が当たり前になっていた株主も、目を疑うマートンの大活躍。近年異例の称賛質問だった。

 メンチが散々な成績でチームもBクラスに沈んでいた昨年は、株主が「去年の外国人(フォード)はダメでしたが、今年(のメンチ)はもっとひどかった」と痛烈批判。「全く訳が分からない。外ればかり取っている」と強い口調でただす場面があった。応じた南球団社長も「本当にふがいない成績で申し訳なく思う」とざんげした。

 だが南社長は1年後、胸を張って壇上にいた。「(手法は)基本的に同じです。ただ(マートンも)1年だけの調査ではなく、長年追いかけリストアップした選手。今年なら日本に来られるとか、メジャーの事情や環境が変化したということです」。トーマス・オマリー氏を解雇してアンディー・シーツ氏を迎えた駐米スカウトの手腕も公表。「バクチ」ではなく、歯車がかみ合い出した新助っ人獲得作戦を自賛した。

 リーグ最多の88安打、同3位の打率3割4分8厘。甲子園での練習後、知らせを聞いたマートンも喜んだ。「(株主さんに)そう言ってもらえるのは光栄です。チームが勝つために契約してもらった。力の限り尽くし、勝利のために頑張ります」。シート打撃ではフォッサムと金村暁に3打席無安打だったが、その後は室内でおかわり特打。18日から再開するリーグ戦(対横浜)へ集中力を高めた。うれしい発奮材料が、さらなる力になることは間違いない。【松井清員】

 [2010年6月17日10時22分

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