<巨人6-2阪神>◇3日◇東京ドーム

 勝利の女神は意地悪だ。初回から4回まで先頭の走者が出ているのに、阪神はツキがなかった。真弓明信監督(57)は5回、流れを引き戻そうと重盗をしかけたが、マートンの投手強襲の打球が野間口のグラブに吸い込まれ、併殺-。夏のロード初戦となった首位攻防第1ラウンドは、巨人に屈して首位陥落した。今日はやり返す。この悔しさを力に首位奪回だ!

 試合終了の瞬間、阪神真弓明信監督(57)はすぐにグラウンドに背を向けた。負けた悔しさは当然あったはずだ。しかし感情をグッと飲み込んだ。ベンチ裏の記者会見。いつもの平静な表情だった。「ツキがなかったというのが大きい」。勝負は時の運とも言う。全国が注目した首位攻防戦で、運に左右され、流れをつかめなかった。指揮官は自らに言い聞かせるように“ツキ”を敗因に挙げた。

 6回まですべて走者を出した。しかし本塁が遠かった。象徴的だったのは、1点を追う5回の攻撃だ。鳥谷と平野の重盗が成功し、押せ押せで1死二、三塁のチャンスを作った。東京ドームのビッグイニングは見られた光景だ。その再現を誰もが期待した。続くマートンの打球はセンター方向への鋭いライナー。ところが、巨人野間口のグラブに直接収まった。三塁走者の鳥谷が戻れず、まさかの併殺。「取られたというより、入ったという感じだった」と指揮官は悔しがった。その後、2得点したが、試合の流れは自軍に来なかった。「しかし、言ってもどうしようもない。何とか点を取らないと…」。

 本拠地を離れ、約1カ月の長期ロードが始まった。高まる決戦ムードにも、指揮官は平常心を貫いた。敵地の東京ドームに入ると、「やはりドームは涼しいな」と緊迫した様子を見せなかった。後半戦初戦の7月27日に首位に立ったが、気負うことなく、結果を受け入れていた。「勝っていれば、首位になることもあるだろう。そこを目指してやっているんだから」。“不動心”を座右の銘に掲げる指揮官は、周囲に惑わされない。だからこの日の敗北もひとつの出来事として向かい合った。

 冷静だった真弓監督が感情を見せた瞬間があった。帰りのバスに向かう通路。2位転落の話題を振られた。「ハハッ!」。笑い飛ばした後、すぐに真顔になった。つまらないことは聞くな、まだ先は長い。そう言いたげだった。口を真一文字に結び、足早にバスに乗り込んだ。やられたら、やり返すだけ-。連勝は引き分けを挟んで「4」で止まったが、これで崩れるようなヤワなチームではない。

 [2010年8月4日11時0分

 紙面から]ソーシャルブックマーク