心配しないでくださ~い!

 阪神マット・マートン外野手(28)が11日、広島戦(マツダ)の雨天中止を受けて同球場で練習に励み、全開宣言した。フリー打撃後に和田打撃コーチと約30分間の激論をたたかわせ、不振を心配する“師匠”に「僕は大丈夫」と熱くアピールした。首位巨人が敗れたためゲーム差1に再接近。12日広島戦に勝って連敗を5で止め、巨人がヤクルトに敗れれば、首位に返り咲く。

 トンネルを抜けだそうと、誰もが必死だ。今季初の5連敗から一夜明け、雨模様のマツダスタジアム室内練習場の入り口付近。マートンの英語が通路に響き渡った。フリー打撃を終えた直後。通訳を介し、和田打撃コーチと約30分間の激論をたたかわせた。

 厚い信頼関係があるからこそ、思いの丈をぶつけあった。後半戦12試合の打率は1割9分6厘。和田コーチが何度も「スランプ」という言葉を使い、伝えたかった趣旨はこうだ。「スランプはまた来る。そういう時にしっかり乗り越えられるように準備しないと」。いつも目をかけてくれる“師匠”のアドバイスに対し、“弟子”は「問題なし」を強調した。「どんな選手でも打ち続けるのは簡単じゃない。僕は今、ここ3年間で初めてコンスタントに試合に出ている。まだ発展途上の選手なんだ」。

 スランプという言葉を使えるほど、完ぺきな選手ではない。まだ成長していく立場。この壁は必ず乗り越え、同じ過ちは繰り返さない-。僕は大丈夫、と熱く理解を求め、最後は「言ってくれてありがとう」と感謝。和田コーチに“全開”を宣言した。

 マートン

 普段と変わらないよ。いつも話をしてもらっていて、今日は時間があったから長くなっただけ。これで終わりじゃない、常に良くしたいとはいつも思っている。良いスイングをしたい、それだけ。結果を考えるとおかしくなる。結果が出る時もあれば、出ない時もあるから。

 悩み過ぎないのがポリシーだ。「こんなアドバイスを受けたことがある。『良い時も思ったほど良くないし、悪い時も思ったほど悪くない』とね」。カブス時代の同僚、メジャー355勝右腕マダックスの言葉だ。140キロそこそこの球速ながら、メジャーNO・1の制球力でサイ・ヤング賞に輝くこと4度。そんな大投手から教わったのが、好不調に一喜一憂せず、常に一定の気持ちで向上することだった。だから、少しくらい打てなくても、スランプとは考えない。

 10日広島戦では15試合ぶりの1発を記録。和田コーチも復調の気配を感じ取っている。「昨日のホームランから良くなっている。今日のフリー打撃も内容が良かった。球宴前(の好調時)に戻ってきた」。“打ち出の小づち”の再登場はもう時間の問題。「ああいうスイングで打てたことは、これからつながる」と本人も手ごたえ十分だ。12日広島戦(マツダ)。全開はバットで表現し、連敗街道にストップをかける。【佐井陽介】

 [2010年8月12日11時27分

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