<ソフトバンク4-4オリックス>◇26日◇福岡ヤフードーム

 頼もしい男が帰ってきた。ソフトバンク山崎勝己捕手(28)が復帰即2打点と結果を出した。左ひざ半月板損傷の手術から2カ月ぶりに1軍へ昇格。6回に2点適時打を放つなど、いきなりの先発マスク起用に応えた。安打を放った試合は23勝4敗1分けの「ラッキーボーイ」は首位キープに欠かせない存在だ。

 一塁上で白い歯がこぼれた。待ちに待った快感だ。山崎にはやはり、笑顔が似合う。「気持ちで打ちにいった」。2-0で迎えた6回1死満塁、カウント1-1からオリックス木佐貫の直球にくらいついた。抜けてくれ-。執念を乗せた打球はセンターの人工芝に弾んだ。走者2人を生還させる2点適時打。ベンチの面々にも一様に笑みが広がった。

 「久々の1軍の試合、それにスタメンで使ってもらっているので、何とか結果を出したいと思っていた」

 左ひざ半月板損傷の手術を乗り越え、この日に2カ月ぶりの1軍昇格を果たしたばかりだった。先発起用に踏み切った秋山監督の期待に応えたのは、バットだけじゃない。7月14日を最後に白星から遠ざかっていた小椋を好リード。直球が持ち味の左腕に対して、変化球を多く交えた配球でオリックス打線を牛耳った。9回に同点を許したが、11回からは経験の乏しい森福を導き、勝ち越し点を許さなかった。

 「悪夢の1日」となった6月20日の西武戦前。打撃練習を終えると、満面の笑みで話していた。「今日は絶対打てますよ。今、何勝何敗でしたっけ?」。この時点で、自身が安打を放った試合は23勝3敗の超高勝率。みずから“持ちネタ”を引き合いに出すなど、絶好の予感があった。言葉通りに2回の第1打席で適時打を放った。だが…。走塁時に左ひざを痛めて途中交代。試合に負けたばかりか、3日後には手術を余儀なくされ、全治3カ月と言い渡された。

 今季絶望の声も聞かれる中、リハビリ生活が始まった。それでも今年中に復帰の日が訪れると、誰よりも信じていた。朝9時から全体練習が始まる2軍生活でも、欠かさず1軍の試合をテレビ観戦してメモ帳にペンを走らせた。だからこそ、ぶっつけ本番の先発マスク起用にも応えることができた。「山崎にもヒットが出たな」と目を細めた秋山監督は「田上といい競い合いになるんじゃないかな」と正捕手争いの相乗効果にも期待する。昇格初日に首位奪取。背番号62は、やはり「持っている」男だ。【太田尚樹】

 [2010年8月27日11時23分

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