<中日6-0広島>◇2日◇ナゴヤドーム

 この瞬間を待っていた。118球を投げ終えた中日マキシモ・ネルソン投手(28)は、204センチの体を少しかがめ、ナインと笑顔でハイタッチ。帽子を取って深々とスタンドに頭を下げた。来日後はもちろん、人生初の完封。16歳で野球を始めたドミニカ共和国出身の28歳は「チャンスをもらっているので応えたかった。打者と守備に助けられた。先頭打者を抑えられたのが大きかった」と丁寧に答えた。

 150キロ前後の直球で、広島打線を散発4安打に抑えた。22・5センチの大きな手を生かし、10センチある指先でボールを自在に操った。2回1死満塁では中前先制打。「僕は打者じゃないから。とにかくバットに当てることを心がけた。先制点が取れて幸せだったよ」と、ビックリのプロ初安打で自らを助けた。

 来日3年目。自宅に帰ると日本人歌手のCDを流すのが日課だ。「音楽を聴けば覚えるのも速いからね」。チームメートとカラオケに行くと、見よう見まねでGReeeeNの「キセキ」のサビを口ずさむ。この日もお立ち台で「アリガトウ!」と答え、スタンドを驚かせてみせた。

 貧しい子供たちを救うのが夢だ。「ブランコみたいに1億円とは言わないけど、5000万円くらい稼ぎたいんだ。そしてお菓子を買って、近所の教会の子供たちに配るんだ」と貪欲(どんよく)だ。今春のキャンプで手荷物から実弾1発が見つかり、不起訴となったが球団から3カ月の出場停止処分を受けた。2軍戦も出られない中で、黙々と練習を重ねた結果だった。

 落合監督も「代え時?

 全然ありません。完封してる投手を代える必要ある?

 これほど必死に投げている投手いるか。自分の生活を懸けて、あそこで必死に投げてんだ。うちが一番求められるのはあの姿じゃないか」と、今季3勝目の右腕をひたすら称賛した。巨人に0・5差と迫り、3日から直接対決だ。【福岡吉央】

 [2010年9月3日8時38分

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