<阪神1-0中日>◇7日◇スカイマーク

 怒りのゲキも実らず、オレ竜が追い込まれた。首位獲りのかかった阪神戦第1ラウンドに惜敗。4回無死一、二塁で落合博満監督(56)は自らマウンドに足を運ぶと、鬼のような形相で先発チェン投手(25)、失策でピンチを招いた荒木雅博内野手(32)を叱咤(しった)した。それでも打線は散発5安打で今季12度目の完封負け。連勝は6でストップし、8、9日で1敗すれば自力優勝が消滅するがけっぷちに立たされた。

 落合監督が突然、ベンチを立ち上がった。鬼のような形相でマウンドへ向かった。4回無死一、二塁。ブラゼルの平凡なゴロを遊撃・荒木がまさかの一塁悪送球。これに動揺したのか先発チェンが金本に四球を与えた。指揮官が動いたのはその直後だった。

 「投げ急いでいるんじゃないのか」。まずチェンに対し、冷静になるよう忠告した。続いて、突き刺すような視線を荒木に向けると厳しい口調で言葉を投げかけた。荒木はこわばった表情でうなずいていた。

 昨年からマウンドに行く役割を森ヘッドコーチに託した。自らが足を運ぶのは今季4度目。さらに投手だけでなく、野手にまでゲキを飛ばすのは極めて異例のことだった。

 0・5ゲーム差で迎えた敵地での首位決戦。勝てば4月以来の首位に浮上できる。優勝の行方を左右する大一番で「守りの野球」が乱れたのが許せなかったのか。逆転優勝にかける執念が今季最大級の怒りとなって表れた。

 だが、チームの弱点である打線が阪神スタンリッジの前に沈黙した。独特の遅い変化球にタイミングが合わず、7回まで散発4安打。8回には敵の守護神藤川から2死満塁とチャンスをつくったが、不振のブランコが見逃し三振に倒れた。最終回も2死二塁と攻め、荒木が痛烈なライナーを放ったが、打球は中堅手の正面を突いた。5回の犠飛による1失点だけで耐えていた先発チェンを援護できなかった。

 「バッテリーだけ頑張っても野手が取れなければこういう試合になるだろうな。そろそろ目覚めてもいいんじゃないか。144試合寝っぱなしか?」。

 惜敗の後、落合監督は怒りを押し殺すように話した。連勝は6でストップ。首位どころか、8、9日のどちらかに敗れれば自力優勝が消滅する窮地に立たされた。リーグNO・1の防御率を誇る一方で、打率はリーグ最下位と低迷している。守りの野球を実践しても、点を取らなければ勝つことはできない。指揮官は打線の奮起を促した。

 「(失策は)自分が抜けていた。明日ですよ、明日!

 やるしかない」。リーグ最多タイとなる19個目の失策を記録した荒木は気丈に顔を上げた。一戦必勝の今、ミスや敗戦を嘆いても意味がないことは百も承知している。崖っぷちでも、まだ、前を向いて進むことはできる。【鈴木忠平】

 [2010年9月8日12時15分

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