<中日7-2横浜>◇11日◇ナゴヤドーム

 不振にあえぐ中日トニ・ブランコ内野手(29)が16試合68打席ぶりのアーチを放った。ヒットを挟んで4打数4安打、しかも2ラン2発。1試合2本塁打は6月19日巨人戦以来、今季2度目。通算では5度目、ナゴヤドームでは初の爆発でチームに白星を運んだ。

 「昨日の夜、練習して、感覚的にしっくりくるものがあったんだ」。来日2年目で最長となる67打席連続で本塁打が出ていなかったが、3回に1死一塁から外角球を右翼スタンドに運ぶと、今度は7回2死一塁から左越えへ。ともに和田が四球を選んだ直後のアーチで、ブランコには1発の怖さがあることを改めて証明してみせた。

 お立ち台では開口一番、首脳陣への感謝のセリフを口にした。「監督、コーチ、指導してくれて今までありがとうございました」。調子が上がらず、主力にのみ与えられる月曜日の休日特権もはく奪された。6日の練習時には、昨年の好調時の打撃フォームの映像をチェック。桂川通訳が持つ携帯電話の動画に食い入るように見入った。「いい時を思い出したかったんだ」。2冠王のプライドを捨て、必死にもがいての結果だ。

 ドミニカの実家には、歴代の所属チームのユニホームが所狭しと飾られているが、リーグ優勝を記したペナントは1枚もない。「皆が喜ぶし、優勝が自分たちの目標さ」。自分の打撃を取り戻し、ブランコに笑顔が戻った。【福岡吉央】

 [2010年9月12日10時46分

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