巨人の連覇を止め、鷹に続く奇跡を起こす!

 優勝マジック8としている阪神の城島健司捕手(34)が27日、大逆転でパ・リーグを制した古巣ソフトバンクに刺激を受けた。残り6試合で首位西武との3・5ゲーム差をひっくり返した劇的V。阪神も残り9試合で8勝が必要とかなり厳しいが、勝ち進むしかない。まず今日28日からの巨人2連戦(甲子園)で宿命のライバルに引導を渡す。その先に城島は「最後まで何が起こるか分からない」と首位中日を逆転する歓喜のゴールを見据えている。

 確かな勇気をもらった。26日、仙台の夜にはじけたかつての仲間たちの笑顔が、涙が、城島のビタミン剤になった。

 城島

 知っている選手もたくさんいるし、秋山さんとも(現役で)一緒にやっている。励みになりますよね。

 甲子園で全体練習に参加した背番号2は少し笑みを浮かべた。ソフトバンクのリーグ優勝はダイエー時代の03年以来。そのシーズンMVPに輝いたのが城島だ。捕手として史上2人目の全試合フルイニング出場。打率3割3分、34本塁打、119打点と攻守にわたる大車輪の活躍だった。

 7年前、一緒に歓喜を味わった松中、杉内、和田、川崎らかつてのチームメートが一足先にリーグ優勝。故障で03年シーズンを棒に振った小久保は泣いていた。舞台をセ・リーグに移して戦う男の胸にも響くものがあったに違いない。さっそく小久保には祝福の電話連絡を入れたという。

 シーズン156安打で土井垣武が48年と49年につくった阪神捕手の年間安打記録を61年ぶりに塗り替えた。捕手が打てるチームは打線に穴がないといわれる。03年と同じように、自分のバットがチームを押し上げている。

 いよいよ28日、運命の6連戦が始まる。城島は27日、甲子園を訪れたがウオーミングアップをナインと一緒にこなしたあとはロッカールームに下がり、打撃練習などを行わずに帰宅した。シーズン全135試合でマスクをかぶり、ホームベースを守ってきた。最後の戦いに備え、メリハリをつけて体を休めた。

 勝つしかない。阪神ナインの合言葉はシンプルだが、きわめて過酷だ。道のりは、ソフトバンクの奇跡より厳しいと言っていい。ホークスは最後に西武との直接対決3連戦という大チャンスがなければ逆転Vは難しかった。阪神は中日との直接対決がない。中日が10月2日の最終戦(対ヤクルト)に勝つと仮定すれば、阪神は残り9試合で8勝が問答無用に必要だ。

 城島にかかる期待は攻守両面で大きくなる。甲子園に巨人を迎える最初の2試合が命運を握っている。

 城島

 パ・リーグを心配している場合じゃないんですけどね。でも野球は終わるまで何が起こるか分からない。だから面白いんですよ。

 5年ぶりにメジャーから復帰したジョーが阪神に、日本球界に、劇的なエンディングをもたらす。

 [2010年9月28日11時29分

 紙面から]ソーシャルブックマーク