中日落合博満監督(57)が笑顔で「鬼指令」を出した。1日、キャンプ初日の会見で放任主義の方針を示しながらも「休むイコール、ユニホームを脱がなきゃいけないと思ってくれていい」と、刺激的な言葉でサバイバルレース開始を告げた。初日から10時間に及ぶ猛練習で離脱者も発生。連覇を目指す戦いに、息つく暇はない。
おだやかな笑みとは裏腹に、落合監督の口から飛び出したのは激辛フレーズだった。キャンプ初日恒例の監督会見。練習開始前、三塁ベンチ前で報道陣に囲まれると、球団史上初の連覇に向けての方針を示した。
「自主性は変わりません。やりたい者はやればいい。休みたい者は休めばいい。ただ、休んでいられない状況をこちらがつくる。休むイコール、ユニホームを脱がなきゃいけないと思ってくれていい」。
球界では猛練習のイメージが定着したオレ流キャンプだが、その内容は実は放任主義、自主性が基本だ。全体練習の後は各自がコーチ陣に申告して、弱点を補う練習をする。若手を除けば、昼すぎには球場を後にすることもできる。
だが、指揮官が左翼和田、遊撃荒木以外はレギュラー白紙と宣言している今年は、実績のある選手もうかうかしていられない。立ち止まろうものなら、ポジションを奪われ、ユニホームを脱がなければならない状況に陥ることも…。落合監督の「鬼指令」は、それだけ競争が激しいという意味が込められていた。
指揮官の宣言通り、初日から激烈なキャンプだった。象徴的だったのは泥だらけになった選手会長・森野の姿。全体練習後、サブグラウンドに現れた森野は1時間20分、ぶっ通しで約400本のノックを受けた。
「やろうと思ったことはやらなきゃいけない。これくらい普通ですよ」。
練習後はふらつきながらも、気丈に振る舞った。
昨季のリーグMVP和田も自分を追い込んでいた。すべての練習を終え、400メートルのタイム走を3本走った後、さらに屋内練習場で打撃練習をしようとしていた。「本当は打ちたかったんだけど、走っている途中で吐きそうになった」。気分が悪くなったため、特打は中止にしたが、チームの主砲で38歳のベテランですら初日から限界に挑戦していた。
「今年はちょっと楽しみなキャンプ。普通は少しずつ(レギュラーが)変わっていくけど、メンバー的にそんなに固まっていない。今まで以上に競争が激しくなる。高い水準の選手が競争して初めて力というのは上がっていく」。
チーム内競争に満足げな落合監督は午後5時に球場を後にしたが、練習は続いた。新人選手ら最後の組が球場を後にしたのは、開始から10時間が経過した午後8時前。辺りはすっかり暗くなっていた。落合監督の言葉通り、選手たちの人生をかけた競争の幕が開いた。【鈴木忠平】
[2011年2月2日12時39分
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