<オープン戦:阪神5-1横浜>◇5日◇レクザム

 慣れ親しんだマウンドに後押しされた。四国九州IL・香川出身の横浜福田岳洋投手(27)が、開幕1軍入りをアピールした。4点リードされた6回から登板。失策でいきなり無死二塁のピンチを背負う。「中継ぎはこういう場面が必ずある。緊張していたけど、あれで逆に落ち着いた」と、後続を2者連続三振を含む3人できっちり抑え、2回を無安打に封じた。

 1浪して高知大に入学。卒業後は、スポーツ科学を学ぶために京大大学院に進んだ。しかし野球への思いを捨てられず休学して、香川オリーブガイナーズでプレー。09年ドラフトの5位指名で入団した異色の経歴を持つ。1年目の昨季は8月に1軍登録され、18試合に登板したが、敗戦処理がほとんど。それだけに「勝っている場面で投げて、去年以上の成績を残したい」と強い決意を持って、今季に臨んでいる。

 レクザムスタジアムは、高知大1年のとき、リーグ優勝を争う大事な一戦で完封した縁起のいい球場。その思い出の地で「内角を攻めていくというテーマがしっかりできたと思う」と充実の表情を見せた。応援に訪れた父市朗さんも「打者に向かっていく感じがありましたね」と息子の勇姿に目を細めた。「香川の力です」と感謝した右腕は、恩返しの意味も込めて、全力で1軍マウンドを奪いにいく。【佐竹実】