<中日4-5阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

 やられたらやり返す-。中日の新外国人ジョエル・グスマン外野手(26=オリオールズ2A)がライバル阪神に意地を見せつけた。0-5と大量リードを許した4回、阪神久保の直球がグスマンの胸元を襲った。のけぞってよけようとしたが、ボールは左腕を直撃。その場にうずくまった。一瞬、静まりかえるスタンド。それでも、新助っ人はゆっくり起き上がると久保をジロッとにらみ、黙って一塁へと歩いた。

 だが、怒りがおさまったわけではない。続くブランコが三塁ゴロに倒れると二塁へ走ったグスマンはベースカバーの平野に猛然と突進した。196センチ、113キロの巨漢をぶつけて、併殺を阻止した。16歳でアメリカに渡った男はメジャーの流儀で“借り”を返した。

 打線はそれまで久保に2安打無得点と沈黙していたが、このプレーを機に火がついた。直後の5回に内野ゴロと相手失策の間に2点を返すと和田の中前タイムリーで3点目。反撃ムードが高まる中、打席には再びグスマン。追い込まれてから外角低めのスライダーを執念で右前へ運んだ。

 試合後、左腕に湿布をしたグスマンは「大丈夫だ」と気丈に言うと、スライディングに関して「よかっただろ?」とにやり。「明日はまたスイングもよくなる。1日1日、よくなる」と前を向いた。本拠地開幕のこの日、自慢の後頭部ヘアを「日の丸形」にあしらった。予告通りの被災者への激励メッセージだった。これで開幕から1勝3敗となったが、ただでやられたわけではない。強さと優しさを併せ持つ新助っ人が、倒れても立ち上がる不屈の精神を示した。【鈴木忠平】