<巨人3-4横浜>◇11日◇東京ドーム
横浜が巨人沢村を攻略し、尾花体制初の3位に浮上した。2回、村田修一内野手(30)が先制のソロ本塁打を放つなど、初登板から5試合連続のクオリティースタート(6回自責点3以内)を続ける沢村から6回までに4得点。チーム打率は2割4分7厘と高くはないが、村田らが右方向を狙う意識を徹底した打撃で効率よく攻めた。一時は借金7で“定位置”に沈んだが、09年7月以来の5連勝で借金は2。今季初の東京ドームのナイターで横浜が光り輝いた。
試合後の東京ドームに村田の応援歌がこだました。5連勝を呼び込んだ、先制アーチを放った男へ、ファンからの感謝の気持ちがこもっていた。3位に浮上したうれしさを感じながらも、村田は「まだ借金があるし、それを返していかないと。貯金をつくる野球をしたいと思う」と、主将らしく浮かれることなく気を引き締めた。
大きな1発だった。0-0で迎えた2回。1ボール2ストライクと追い込まれながら、甘く入ったスライダーを見逃さなかった。「打った瞬間、ホームランと思った」という手応え十分の当たりは、横浜ファンの待つ左翼スタンドへ吸い込まれた。
意識していたのは右方向だった。初めから引っ張ることを考えていれば、体の開きが早くなり、きれいな放物線は描けなかっただろう。試合前に「今は本塁打を打とうと思っていない」と話すなど、フォア・ザ・チームを意識しているからこその先制弾だった。
春季キャンプから、チーム全体で、インサイドアウトの打撃に取り組んできた。高木打撃コーチは「それが一番できているのが村田」と評する。内から外へ最短距離でバットを出す打撃の基本。それが、今のつなぎの打線を支えているが、昨年までは徹底しきれず、中途半端に終わる打席が多かった。日本一になった98年のマシンガン打線ほどの迫力はない。しかし、今季楽天から移籍加入した渡辺が「意識しないとできないこと」と言うように、意識改革で自然と体に染み付いてきた。試合を消化することで、チームとしてつながるようになってきた。
今季はここまで同一カード3連敗が2度。5連敗も経験した。3年連続最下位だった昨季までは、このままズルズル負けが込んでしまっていたが、今の横浜は違う。20試合以上を消化しての3位以内は4年ぶりだ。村田は「負けていても、2死からでも点がとれると思ってやっている。それが得点につながっていると思う」と、あきらめない、勝利への執念を強調した。
打撃などすべての手本を自ら示す村田の存在は大きい。尾花監督は「キャプテンがそういう姿勢をゲームで見せて、それにみんなが引っ張られている」と、全幅の信頼を置く。「勝ちたい気持ちも、もちろんあるけど、野球を心底楽しみたい。今は楽しいです」と充実の表情を見せた村田。このムードがあれば、秋にはもっと野球を楽しめているはずだ。【佐竹実】



