<巨人2-1横浜>◇12日◇東京ドーム

 ズバリ、はまった。巨人原辰徳監督(52)が開幕23試合目にして打線のテコ入れを敢行。不振の小笠原道大内野手(37)を日本ハム時代の01年以来となる1番に起用し、坂本勇人内野手(22)をプロ初の3番に抜てき。1回、その小笠原が二塁打で出塁すると、坂本の適時二塁打などで2点を先制し、逃げ切った。怖いぐらいに的中し、連敗を3でストップ。負ければ06年以来の単独最下位の危機だったが、阪神と同率3位に浮上した。

 23試合目の大きな決断だった。「1番・小笠原」。ここまで打率1割8分3厘、打点1の3番打者を、原監督は動かした。ガッツの1番は01年10月以来で、巨人では初。東京ドームがどよめいたほどの打順変更の理由を「チームの最善策です」とシンプルな表現で語るにとどめた。

 当の本人ガッツも、指定席から外れた現実を冷静に受け止めていた。「打順は変わっても、やることは変えなくていいとは言われていました」。初回、横浜山本から左中間フェンス直撃の二塁打を放った。3番に起用された坂本の適時二塁打で先制のホームを踏むと、ベンチで笑みを浮かべた。「初回にああいう形で点が取れて良かったかなと思いますね」と、落ち着いた表情で振り返った。

 2人とも、試合後はクールだった。だが、試合前には、濃密に、しっかりと話し合っていた。前日11日の敗戦後、原監督は「相手の術中にはまってしまうガッツのバッティングというのは、勢いを遮断するよね」と、2度の好機で空振り三振に倒れた小笠原を、珍しく名指しした。あえて報道陣に名前を言い、さらに、まだ講じるべき策はないかと熟考した。監督の口から、そのことも試合前に小笠原に伝えたという。「ガッツ1番でゲームをしたい」とも直接言ったという。監督の決断に、小笠原は「10年ぶりの1番ですからね。久々で、新鮮な気持ちでした。真っ白な気持ちで打席に立ちました。うまくとらえることができたのかなと思う」と、無の境地で放ったこん身の一打で応えた。

 賭けだった。岡崎ヘッドコーチが「6番とか7番に下げるつもりは、監督も僕もなかった。下げるくらいなら出さない」と語るように、指揮官に打順を下げる選択肢はなかった。そこで、打席が最も多く回る1番での起用が浮上した。打撃不振でも真摯(しんし)な姿勢を崩さない姿は、誰もが知っている。そんなガッツが1回に安打を放てば、3連敗中で同率最下位となったムードを一変させ、チームを勢いづけることもできる。だが、一歩間違えば…。岡崎ヘッドは「小笠原を1番にするってのは、このチームにとっては結構な賭け。この試合を落としたら、明日以降、影響が出るような、そのくらいの賭けだったと思う」と言った。そんな指揮官の意図と決意を、ガッツも「あとは思い切っていく。思ったように打席に立つ」としっかりとくみ取っていた。

 連敗は3で止まった。小笠原もマルチ安打を放った。原監督は「チームにとっても彼にとっても、起爆剤といいますか、何かいいきっかけにしないといけませんね」と言えば、小笠原も「いきなり1が10になることはない。我慢強く、継続して1打席1打席、集中してやりたい」と、満足した様子を見せなかった。この日の結果が、すべての問題をクリアしたわけではない。だが、原監督と巨人は、横浜にも、今季の行方を左右する大きな賭けにも勝った。【浜本卓也】