<ヤクルト6-4中日>◇12日◇神宮

 鬼門神宮でまた負けた。攻守で首位ヤクルトに勢いの差を見せられ、5ゲーム差と突き放された中日落合博満監督(57)は「やっと野球になってきたな」と満足そうに笑った。自ら遊撃へコンバートした荒木雅博内野手(33)を1年ぶりに二塁で先発起用。今後は二遊間をこなせる荒木を軸に新布陣を敷く。シーズン中も改革を断行し、逆襲へ自信を漂わせた。

 今季7戦で敗軍の将になるのは早くも6度目だ。3本柱の先発マキシモ・ネルソン投手(29)を崩され、打線も要所を抑えられた。首位とは5ゲーム差。普通ならば神宮のグラウンドを歩く足取りは重くなるはずだが、落合監督はうれしそうに笑っていた。

 「やっと野球になってきたな。もうちょっとで落ち着くんじゃないか」。

 指揮官が笑える根拠はこの日復帰した荒木だ。左足を負傷して以来、8試合ぶりの先発復帰は遊撃ではなく二塁だった。昨季、遊撃にコンバートした荒木を再び戻した。9日横浜戦で荒木が二塁で途中出場した時から予想はされていたが「荒木が遊撃を外され、井端と二塁を争う」との周囲の臆測は、試合前にきっぱり否定していた。

 「それは違う。荒木のショートは今年、だれも文句を言えないくらいにうまくなった。でも今は二塁に問題がある。井端の動きが悪いだけにな。ショートは岩崎(達)がある程度やれているんだから、井端を休ませる意味でも荒木が二塁をやればいい」。

 現在好調な岩崎達と、進化した二塁荒木とで二遊間を組ませる。その間に疲れのある井端を休ませる。戦力をアップさせ選択肢も広がる配置転換だった。

 「それにショートを経験すれば、あいつはもっといい二塁手になると昔、言っただろう」と落合監督は付け加える。二塁復帰の荒木は中前へ抜けそうな打球を止め、ゴロを無難にさばいた。バットでも2安打。「頑張りますよ」。言葉は少なかったが、動きで証明した。

 最後に落合監督はまた笑った。「今、何試合目だ?

 まだ半分もいってないじゃないか。ハハハッ」。戦いの最中でも着々と手を打つ指揮官。鬼門の前でも、連覇へ通じる構想が渦巻いている。【鈴木忠平】