<ロッテ0-2楽天>◇31日◇QVCマリン
マー君は考える葦(あし)である-。楽天田中将大投手(22)が10勝目を挙げた。ロッテ相手に7安打を許すも8回を投げ無失点。3年連続の節目に到達し、防御率も1・16とし、再び両リーグトップとした。開幕から結果を出し続けているが甘んじず、投球フォームを微調整。カーブを交え配球にも幅を持たせた。3カ月ぶりの月間勝ち越しで、星野仙一監督(64)も「けじめがついて、これからどんどん勝ってくれるだろう」。勝負の8月に突入する。
田中は本塁生還だけを許さなかった。2回から6回まで毎回走者を出した。ただ得点圏に背負った2、4、6の偶数回。8番工藤で勝負し、3つのアウトを奪ったのは偶然でなかった。7番里崎へのワイドな攻めから一転。打線全体を見渡し“落としどころ”を知っていた。「僕は何もしていない。バックに助けられ、先に点を取ってもらった」と殊勝に感謝した。ただ「今よりいい状態で試合に臨めるよう、いつも取り組んでいます」の言葉にはプライドが詰まっていた。
その日の好不調と少し離れた次元にいる。開幕から投球フォームがほんの少し変わった。「シーズン中も変えるのは当然」。愚問とばかりに素っ気なかった。
踏み出す左足の爪先が三塁側に入った。外国人投手特有のインステップほどではない。だが数センチの変化は相手にとって実にやっかいだ。投球時に左半身の壁ができ、特にスライダーに対し右打者の腰が一瞬引ける場面が目立つ。「意識して踏み出そうとはしてません。しっくりくる場所を探した結果、内に入りました。投げるタイミングも、開幕と比べ多少早くなってますよ」と、研さんの結果と強調した。加えてこの日は、走者を背負うとひざを曲げ重心を下げ、超コンパクトのクイックで投じた。捕手嶋は「盗塁阻止というバッテリーの課題を理解し、実践している」と指摘した。
自己最速での10勝。星野監督からすれば「節目っていうだけ。(味方が)打ってりゃ、ダルと同じくらい勝ってるわい」で、別に興味なかった。だが「人間田中」についての興味は尽きない。「援護なくとも変わらない。オレと違ってな。心身の自己管理ができる。何かを言う必要がない投手。初めてだ」。22歳にして熟成されている姿が新鮮に映る。ルーツはどこにあるのか。
星野監督
みんな甲子園を目指して苦しい練習を耐える。でも舞台に立てるのは一握りで、勝ち残るのは1校しかない。優勝したら満足する子も多いだろ。甲子園で騒がれたっきり、が多いじゃないか。でもな、先を見ていたら、うんとつらい練習も我慢できるし、上達もできる。いつも先を見ることが大切と思う。
田中は「1勝1勝の積み重ね。何勝か、は終わったらでいい」と言った。唯一負けなかった高校球児として頂点も見たが、あぐらをかかず先を見る。進歩の源泉がそこにある。【宮下敬至】



