芝生を取り除いて!

 DeNAの中畑清監督(58)が15日、就任後初めて春季キャンプ地の沖縄・宜野湾を視察した。メーン球場となる宜野湾市立野球場に入るなり、「ここで特守させたいんだよ。芝生を切れないかな」。気になったのは、一、三塁ベース後方のファウルゾーンで、内野席前まで張り出した天然芝。「カットして」「削って」と威勢のいい声に身ぶりも交えて、同行した宜野湾市職員にお願いした。

 天然芝に張り替えてくれ、というお願いはあっても、取り除いてというのは珍しい。が、これこそまさにキヨシ流。そのスペースを使って特守を行いたいというのだ。「芝生と段差が球に飛びつく勢いを止めちゃう。スタンドに近いと、声援で最後の1歩が出せるんだよ」。長時間続く特守では、最後は足が動かなくなってくる。スタンドに近い場所で行い、ファンの声援を浴びながら限界を乗り越えさせたい、というわけだ。

 巨人時代に指導を受けた長嶋監督(現終身名誉監督)とのノックが、その考えの根底にある。入団3年目の春季キャンプ。先発出場が決まっていたオープン戦前に1時間の特守を命じられた。「前日の試合でミスをして。でもミスをクリアしないと次はない。後のことを考えないで球を追った。その日の試合はいい結果が出たねえ」。その経験を積んだのが、三塁側内野スタンド前だった。

 まさかの要望にも、宜野湾市役所建設部の島徳一課長は、2月1日までの改修を約束。「小さいことと思われるかもしれないけど、練習をきちっとやるには大きいこと。いい結果を出すための環境作りだな」と中畑監督。お願いが受け入れられ、満足そうに笑みを浮かべた。【佐竹実】