巨人沢村拓一投手(23)がスポーツ用品メーカーのアンダーアーマー社とアドバイザリー契約を結んだことが28日、分かった。今季目標を2年連続となる「200イニング投球」に設定。新人からの2年連続以上は90年から93年までの近鉄野茂以来で、DH制を採用していないセ・リーグに限れば67年から73年までの阪神江夏以来の快挙となる。新たなる“剛腕伝説”の幕開けに向け、昨季新人王右腕が頼もしい援軍を得た。

 超大物たちに肩を並べるべく強力なサポート態勢が整った。スポーツ総合用品メーカーでアメリカンフットボールを皮切りに、日本球界への幅広い浸透を狙うアンダーアーマー社が、今季2年目を迎える沢村に“社運”を託した。同社の担当者は「パイオニア的な存在になってほしい。我々にできることは全力でサポートさせてもらいたい」と、期待を込めた。

 昨季、米大リーグで21勝を挙げ、ナ・リーグ最多勝を獲得したドジャース・カーショー、同リーグ首位打者のレイエス(メッツからマーリンズに移籍)を筆頭に、巨人阿部ら球界屈指のスーパースターも同社の用具を愛用しているが、使用する用具全てで契約を結ぶのは沢村が唯一。グラブの使用は世界初で「(日本でア社の代理店業務を請け負うドーム社の)250人の社員の方々みんなが僕を支えてくれている。『契約してよかった』と思ってもらえるような結果を出して恩返ししたい」と、さらなる活躍を誓った。

 この日、真新しいスパイクとグラブを身につけ、今季初のブルペン投球に臨んだ。昨季、セの新人では49年ぶりの200イニング投球を達成した右腕は「傾斜で投げられて良かったです」と、直球中心で22球を投げ込み試運転を終えた。

 「200イニングを投げるためには1回から最後まで同じ球威のボールが投げられるようにしたい」。2年連続の200イニング登板に向けて、昨年10月ごろからは都内のジムに通うなどして肉体改造にも着手した。同時にスタミナ&パワーアップを目的にし、積極的に新発想を導入。「おなかがすいている時間をつくらないことですね。ゆっくりでいいから常に食べる」と、体重を96キロに増やした。

 「まずは体重を増やしてから脂肪を減らしていくイメージです」。セでは約半世紀ぶりとなる新人からの2年連続の200イニング投球。アンダーアーマー社との二人三脚で必ず成し遂げてみせる。

 ◆アンダーアーマー社

 96年に米国で設立されたスポーツブランドで、株式会社ドームが日本の総代理店。主な契約アスリートは、野球ではフィリーズ・パペルボン、カブス・ソリアーノ、ジャイアンツ・ポージーら。水泳では08年の北京五輪で史上初の8冠を達成したマイケル・フェルプス。アメリカンフットボールではNFLのリーグMVP2回、スーパーボウルMVP2回を獲得しているペイトリオッツのトム・ブレイディら。米総合格闘技団体UFCの世界ウエルター級王者で人気総合格闘家のジョルジオ・サンピエールらがいる。