<オープン戦:DeNA3-2西武>◇11日◇横浜

 午後2時43分。DeNAと西武の全選手がマウンドを中心に円陣を組み1分間の黙とうをささげた。当初はベンチ前に整列して行う予定だったが、中畑清監督(58)の強い希望で両軍ナインが交互になって輪を作った。「いざという時にみんなが1つにならないといけない」と熱い思いを説明した。

 福島で酪農を営む家に生まれた中畑監督にとって「3・11」は特別な日だった。震災直後から20回以上にわたり被災地を訪問し、物心ともに支援を行っている。昨年12月に監督のオファーがきた時には、「明るい話題を提供する使命を感じた」と受諾。低迷する野球界と復興支援の旗頭になることを心の中で誓った。

 試合前の全体ミーティングでは被災地への思いを伝えるとともに、「最後まで諦めない最高のプレーをしよう」と訴えかけた。その言葉通り、先制されても追いつき、最後に勝ち越す展開。1点を追う3回には、無死一塁から黒羽根がバスターで右中間を破る同点適時二塁打をマーク。7回には代走荒波が盗塁でチャンスを広げた1死三塁から、黒羽根が初球スクイズを決めて勝ち越した。

 「相手が警戒している中でこの形で得点できたのは大きい。“せこいぜ野球”が完成しつつあります」と満面の笑みを見せた。チームは3連勝で首位キープ。今年はグラウンドからたくさんの笑顔を届けるつもりだ。【鳥谷越直子】