<オープン戦:DeNA2-0巨人>◇24日◇横浜

 DeNAが1安打無失点リレーで快勝した。巨人とオープン戦2度目の対戦。開幕を見据えて本番モードの重量打線に対し、ローテーションの軸として期待する高崎健太郎投手(26)国吉佑樹投手(20)が無安打投球。登板した4投手が二塁すら踏ませない好投で、12球団唯一の防御率1点台をキープした。チーム浮上に欠かせない投手陣の整備が着々と進んでいる。

 予想を上回る結果に中畑清監督(58)の表情も自然とほころんだ。開幕投手の高崎、この日、本拠地開幕となる4月3日中日戦の先発を告げた国吉が、それぞれ無安打投球。貴重な先発左腕として期待する山本も、3回を矢野の1安打に封じる力投を見せた。先発ローテを託す3人の好投に「平常心と闘争心がマッチしたマウンドだった。真っ向から向かっていく姿勢で圧倒できたね」と、うれしさを隠しきれなかった。

 昨季、12球団最低だったチーム防御率(3・87)が、オープン戦16試合を終えて1点台を維持するまで向上。調整登板もあるだけに、単純比較は出来ないが、立て直しが進んでいることは間違いない。チーム浮上に欠かせない投手陣の再建。その陰には、3つのポイントがあった。

 今季から就任した友利投手コーチは「120球で9回もあるけど、3回を9球ということもある。入り球は勝負球」と、相手よりも自分の持ち球をいかに生かすか考えることを説く。高崎はオープン戦最初の2試合(4日楽天戦、11日西武戦)、先頭打者に甘く入った初球直球を中前打されていた。140キロ台後半の直球を生かすために、前回ソフトバンク戦はチェンジアップ、この日はカーブを初球に選択。いずれも凡打に打ち取り、課題の立ち上がりを改善した。先発全体でも昨季98点あった1回の失点が、ここまで計3点。立ち上がりが安定してきた。

 キャンプ中から投手陣は「原点」の外角低め直球を投げ込んできた。黒羽根は「この球の精度が投手陣全体で上がってきているので、先発、中継ぎ問わず、多く使っている」。この日の高崎は外を使いながら内角で勝負する配球。2回の村田には、内→内→外→内と全球直球で挑み、詰まった遊ゴロに仕留めた。

 開幕直前にもかかわらず、1軍帯同の投手は18人。ここから12人に絞り込む。三浦は「この時期にこの人数がいることはまずない。結果を残して(1軍に)残ろうという意識が充満している」と話す。ギリギリまで競わせることが、闘争心の向上につながっている。

 5度の完封勝利も12球団トップ。それでも友利投手コーチは「ふたを開けたらこうはならない。誰も楽観的には思っていない」と笑顔はない。中畑監督も「本番で勝たないとダメ」と、求めるのはシーズンでの勝利。手応えにも慢心することなく、準備を整える。【佐竹実】

 ▼DeNAが巨人を1安打に抑え、今オープン戦で5度目の完封勝ち。オープン戦でDeNAの1安打完封勝ちは、大洋時代の89年3月5日近鉄戦(6回表攻撃中降雨コールド)以来。完封勝ちを5度以上記録したのは06年中日以来で、DeNAでは74年(6度)以来、38年ぶりだ。これで今オープン戦の防御率は12球団トップの1・83。公式戦の防御率は4年連続リーグ最下位のDeNAだが、この間はオープン戦でも防御率順位が(12)→(9)→(11)→(11)とさっぱり。オープン戦の防御率が12球団中3位だった05年は公式戦でリーグ2位の3・68を記録しており、今年は投壊から脱出できるか。ちなみに、完封を5度マークした06年中日はオープン戦の防御率が12球団トップの1・54で、本番でもリーグ1位の防御率を記録し優勝している。