<巨人4-2ヤクルト>◇1日◇東京ドーム

 巨人杉内俊哉投手(31)が移籍初登板初勝利を挙げた。シーズン初登板は10戦無傷(7勝)とめっぽう強い新戦力左腕が、6回1/3を投げ被安打8、2失点で粘投。リリーフ陣にも助けられ、開幕2連敗中のチームに今季1勝目をもたらした。6年ぶりに東京ドームのマウンドに復活した「背番号18」が、チームとともに、新天地での第1歩を踏み出した。

 東京ドームのお立ち台で杉内がようやく、安堵(あんど)した。チームが開幕2連敗で迎えた自身初登板。本調子の快投とはいかなかったが粘りに粘って勝ち星をつかみ取った。4万4135人の大観衆を前に「すごく感動しています。試合前に自分のコールを受けたときにすごい大歓声で興奮しました。ジャイアンツで新たな道を進めると思うとうれしく思います」。桑田氏以来6年ぶりに巨人に復活した「背番号18」が新天地のファンの前で初勝利を報告した。

 大きな重圧を背負いながらのマウンドは苦難の連続だった。「今日の試合はすごく大事。18番を背負うということは成績を残さないといけない。優勝するために呼ばれた。常に前線でやるという気持ちが強い」。偉大な先輩たちが通ってきた試練が杉内にも襲い掛かった。1回は先頭の田中を1球、2番上田は4球、3番ミレッジも1球で片付けたが、2回に先制点を許すと、7回途中で降板するまで毎回、走者を背負うマウンドを強いられた。

 杉内に初勝利を-。チームメート思いが星の色を黒にはさせなかった。女房役の阿部が5回の右前適時打を含む2安打の活躍でチームをけん引。「杉内の初登板だから勝たせてあげたい。緊張するだろうからあまり考えさせないでシンプルにやるよ」と、リードだけでなく打撃でも援護した。1点差に詰め寄られた、7回表1死満塁でバトンを受けた2番手山口も神懸かり的な救援で同点を許さなかった。「よく食事に誘ってもらうんですよ。今日は感謝の言葉を言われました」と、兄貴分をもり立てた。

 6回1/3を投げ8安打2失点7四死球。ピンチの連続をくぐり抜け、最後は新守護神の西村から杉内がウイニングボールを受け取った。「コースを狙いすぎて自分を追い込んでしまった。らしくなかった」と、反省点をあげながらも「打たれても粘り強く投げるのが僕の身上。うれしいですね」。自身プロ通算104勝目で無敵ジャイアンツの12年シーズンに号砲を鳴らした。【為田聡史】

 ▼杉内が移籍初登板を白星で飾り、巨人の開幕連敗を止めた。杉内はシーズン初登板に強く、これでプロ入りした02年から8連勝となった。巨人移籍初登板で先発勝利を挙げたのは、楽天から移籍した10年8月8日朝井以来。他に49年別所、50年吉江、65年金田、66年久保田、00年工藤とメイ、02年武田、06年パウエル、09年ゴンザレスといるが、移籍初登板でチームの開幕からの連敗を止めたのは66年久保田に次いで2人目だ。久保田は東映から移籍し、2連敗で迎えた3試合目の大洋戦で先発して完投勝利を挙げた。