<ヤクルト0-4DeNA>◇12日◇神宮

 ハマの番長は健在!

 DeNA三浦大輔投手(38)がヤクルト3回戦で132球の熱投を見せ、09年以来3年ぶりの9回完封で今季2勝目を挙げた。4回には自ら適時打も放ち、1日の阪神戦で新球団に初勝利をもたらしたエースが、今度は初の連勝をもたらした。6連敗の後に連勝して、今日13日から中畑清監督(58)の古巣・巨人との3連戦を迎える。

 至福の夜だった。132球の9回完封勝利を挙げた三浦は、ヒーローインタビューを終えると大歓声が降り注ぐ三塁側スタンドを悠然と引き揚げた。何度も帽子を取って頭を下げ、通路に隠れると「最高に気持ち良かった~」と満面に笑みをはじけさせた。

 そこへ中畑監督が通りがかる。指揮官は「もう1回やっていい?」と、試合終了直後に交わした抱擁をもう1度繰り返した。そして新球団初の連勝をもたらした右腕に「もう1回出さなきゃな!」と2度目の監督賞まで約束した。

 それに値する完封劇だった。序盤から走者を出しながら、ベテランらしい粘りでスコアボードに0を並べた。8回を終えて122球。それでも三浦は「4点あったし、監督とデニーさん(投手コーチ)に行かせてくださいと言いました」と志願してマウンドに向かった。中畑監督も「素晴らしい勝ち方。ベテランが仕事をすると若手が奮起する起爆剤になる」と褒めちぎった。新球団として初の連勝は前日の山本(6回降雨コールド)に続く2試合連続完封。チームの連続完封は09年5月8、9日以来で、三浦自身の9回完封もこの時以来3年ぶりだった。

 昨年は9回完投投手がゼロというプロ野球初の記録を残したチームは、過去の完封、完投をさかのぼればあちこちに三浦の名前が顔を出す。優勝した98年や勝てない近年の苦しい時代を過ごしてきた唯一の存在。今回もチーム初勝利をもたらした1日阪神戦後は登録を抹消されたが、1軍の練習に同行して勝てないチームの苦悩を共にした。その中で不調の同僚などには助言を惜しまない。「グラウンド以外でもできることをやっている。下を向かずにやっていてつくづく良かった」と報われた喜びに浸った。

 38歳の勇気あふれる熱投に背中を押されたチームは今日13日に今季初の巨人戦を迎える。本拠地でまだ1勝もしていないが、敵地での連続完封勝利という最高の形で弾みがついたのは間違いない。中畑監督は「向こうも勢いはついてきているけど、こちらの打線も流れが上がって入れる。気持ちよく戦いたい」と、威勢良く古巣との真っ向勝負を宣言した。【大塚仁】

 ▼三浦が9回を投げて完封勝ち。昨年のDeNAはプロ野球最少タイの2完投だったが、三浦が完投負けの4月27日中日戦が6回裏攻撃中降雨コールド。三浦が完封した9月4日阪神戦も8回裏攻撃中降雨コールド。プロ野球史上初めて9回完投した投手がおらず、今季も前日記録した山本の完封は6回表降雨コールド。DeNAで9回完投は10年7月31日ヤクルト戦の大家以来で、9回完投なしの不名誉記録は209試合でストップした。

 また、チーム2試合連続完封勝ちは09年5月8、9日阪神戦以来。2戦とも投手1人で記録した連続完封勝ちは、00年5月2日阪神戦の斎藤隆、3日阪神戦の小宮山以来、12年ぶりとなった。