<阪神0-3中日>◇15日◇甲子園

 中日山本昌投手(46)が記録ずくめの2シーズンぶり復活勝利を挙げた。8回を投げ、阪神打線をわずか2安打無失点。46歳8カ月と4日での先発白星はプロ野球最年長。杉下茂の持つ球団記録の211勝にも並んだ。昨年右足首を手術し、2軍戦登板すらゼロだった男がよみがえった。チームの連勝を演出し、再び上昇モードに導いた。

 岩瀬にもらったウイニングボールは、大事に左ポケットにしまった。甲子園でのヒーローインタビュー。山本昌は2季ぶり白星をかみしめた。

 山本昌

 うれしいですよね。試合で投げられないのが一番つらかったし、あきらめないで頑張ってきてよかった…。報われたのかな。

 右足首の故障で2軍でも投げられなかった昨年。1度は引退を覚悟した。「もういい(潮時)ですかね」。だが球団、そして高木監督の答えは、感謝の現役続行だった。9月末、46歳で初めて自分の体にメスを入れた。恩返しはもう1度勝つこと。過酷なリハビリを家族や仲間の励ましで乗り越え、復活の日が来た。

 山本昌

 球団、高木監督、権藤コーチ、近藤コーチ、トレーナー…。支えてくれた方の力があるから、この年でも投げられている。みんなに感謝したいです。

 最速は138キロ。ここに七色の変化球を織り交ぜ、阪神打線の芯をことごとく外した。危なげない8回2安打0封。「今日はマサだ。本当によく投げた」。開幕投手とあおってきた高木監督も絶賛した103球の復活劇は、文字通り記録ずくめだった。

 46歳8カ月と4日の先発白星は、プロ野球記録を64年ぶりに更新する史上最年長。セ・リーグ最年長勝利も更新、杉下茂の持つ球団記録211勝にも並んだ。浜崎真二(阪急)の48歳4カ月、史上最年長勝利の期待も膨らんできた。

 山本昌

 杉下さんという大投手に勝ち星だけでも並べたのは光栄です。でも(浜崎さん超えは)厳しいと思います。でもできる限りのことをやっていきます。

 今季3試合19イニングで1失点。22歳の新人田島が初勝利を挙げた翌日、現役最年長が完全復活した。そしてチームは2連勝。守道竜が再び、上昇気流に乗った。【松井清員】

 ▼46歳8カ月(46歳248日)の山本昌が10年9月11日横浜戦以来の白星を挙げた。46歳以上の勝利投手は48、50年浜崎(阪急)09年工藤(横浜)に次いで史上3人目。プロ野球の最年長勝利は50年5月7日浜崎が救援で記録した48歳4カ月だが、先発勝利としては同じ浜崎が48年8月10日南海戦でマークした46歳244日を抜く最年長記録。セ・リーグでは工藤の46歳1カ月を抜く最年長勝利となり、これで登板、勝利、完投、完封、セーブ、奪三振と、セ・リーグの主要な投手最年長記録は山本昌が独占した。また、山本昌は通算211勝目で、杉下の持つ通算勝利の球団記録に並んだ。