<DeNA4-3巨人>◇4日◇横浜

 ハマの番長が7年ぶりに巨人をやっつけた。2年ぶりに巨人戦に先発したDeNA三浦大輔投手(38)が、7回を7安打3失点に抑える力投。勝負どころで気迫あふれる投球をみせ、5連勝中だった首位巨人の勢いを止めた。巨人戦勝利は05年8月23日以来で、連敗も10で止めた。プロ21年目で、史上47人目の通算150勝にも到達。いいときも悪いときも、マウンドを守ってきた番長には、ハマの夜風がよく似合う。

 こん身の力を込めて振り抜いた。1点リードの7回1死三塁。犠飛でも同点の場面で、三浦は強気の内角攻めで長野を追い込んだ。最後は外角低めへ逃げていく切れ味抜群のカットボール。バットは空を切った。続く古城には、1ボール2ストライクから、この日最速の144キロ直球を外角へ。最大のピンチを、2者連続の空振り三振と力でねじ伏せ、右拳を力強く突き上げた。

 「あのイニングで代わると聞いていたんで、気持ちMAXでしたから。逃げないでいこうと、最初に決めていた」。その表情には充実感があふれていた。

 149勝目から3度足踏み。“4度目の正直”で臨む相手は、相性が悪いと言われ続けてきた巨人。本人は「周りが言うほど苦手意識はない」と言うが、最後に勝ったのは05年8月23日。そこから10連敗中と、数字から見れば、“天敵”と言われても仕方ない相手から、節目の1勝を挙げてみせた。中畑監督は「巨人は今、首位のチーム。その巨人戦で達成出来たのは、大きい。真っ向勝負しての150勝をつかみ取った。最高の形だよ」と、賛辞を惜しまなかった。

 今年でプロ21年目を迎える三浦。98年に日本一を味わったが、その後経験した最下位の数は実に8回。常勝巨人の優勝を何度も見届けてきた。今も抱き続けるのは「横浜で優勝したい」という決意。言葉にこそ出さないが、巨人を倒さなければ目標に届かないという思いを持ち続ける。

 横浜一筋のプロ野球人生。愛着は人一倍強い。昨年11月に伊豆で開かれた納会。三浦は巨人入り決断前の村田から言われた。「俺は優勝したいんですよ。三浦さんは1回優勝してますよね」。この言葉にこう答えた。「外に出て優勝を目指すのも1つの道。俺はこのチームでもう1度、優勝を目指すよ」。そんな言葉を交わした元同僚は、乗り越えなければならない相手の4番に座り、この日初めて対峙(たいじ)した。「あいつが選んだ道だから。特別な意識はなかったよ」と振り返ったが、直球主体の真っ向勝負で3打席を抑えきった。

 お立ち台での最後のひと言。「横浜に残ってよかったです!」。スライド登板を志願し、地元マウンドにこだわり、自分のことのように喜んでくれるファンからの声に、うれしさが込み上げた。150個の白星はまだ通過点。目指す頂に再び立つため、三浦は全力で腕を振り続ける。【佐竹実】

 ▼三浦が巨人戦で今季7勝目を挙げ、プロ野球47人目の通算150勝を記録した。DeNAで150勝以上は平松、秋山に次いで3人目。初勝利は93年9月4日広島戦で、38歳6カ月での到達は94年佐藤義(オリックス)の39歳7カ月に次ぐ年長記録だ。三浦は通算150勝151敗。負け越しで150勝到達は64年米田(阪急)73年坂井(大洋)80年東尾(西武)に次いで4人目だが、米田と東尾はその後に勝ち越し。現在150勝以上で負け越しは、150勝到達後に負け越した梶本(阪急)長谷川(広島)と坂井、三浦の4人だけ。

 ▼三浦の巨人戦勝利は05年8月23日以来、7年ぶり。06年3月31日から続いていた巨人戦の連敗を10で止めた。巨人戦勝利のブランクは99年遠山(阪神)の13年ぶりが最長。大型連敗を止めて久しぶりに勝った例は、15連敗だった46年森井(中部日本)の9年ぶり、8連敗だった73年水谷寿(中日)の8年ぶりがある。