<日本ハム4-2オリックス>◇19日◇札幌ドーム

 身長差21センチに、どよめきに近い歓声が上がった。日本ハムのヒーローインタビューで、187センチの糸井嘉男外野手(31)とお立ち台に並んだのが166センチの谷元圭介投手(27)だった。5回8安打2失点。「たくさん安打を打たれましたが、粘ることができて良かったです」。先発転向後、6試合目でつかんだ白星だった。

 首脳陣から適性を考慮され、今季途中に配置転換された。今季の1勝を含め、試合前までの通算5勝はすべて中継ぎでのもの。09年のルーキーイヤーに12球団新人一番乗りで勝利を挙げたが、先発での1勝、そしてV争い真っただ中での勝利は格別だった。

 166センチ以下の先発勝利は、実に53年ぶり。「いまさら身長は伸びない。この体でやっていくしかないので、真っすぐも低めにこだわらず、高めに抜けた球も(身長の高い)人とは違う球道だと思って投げている」。小兵投手の美学がここにある。

 オールスター直前には、チームの後輩から「週刊誌に載っています」と連絡を受けた。私生活でやましいことはないと不思議に思っていたら、小兵投手の特集企画だった。球界では有名なNO・1が、ようやくたどり着いた先発での1勝だった。

 初の中5日での登板もクリア。「点を取ってくれたので、1点でも少なくという気持ちの余裕があった」と打線に感謝した。武田久から受け取ったウイニングボールの処理を聞かれ「実家です」と答えた直後「初勝利じゃないんで」とキッパリ。喜びの中にも、最大の武器「強気」をのぞかせていた。【村上秀明】

 ▼日本ハム谷元が4年目でプロ初の先発勝利をマーク。ドラフト制後の1軍登板投手では、谷元の166センチが仁部智(04~07年広島)と並んで最も低い。仁部は未勝利で166センチ以下では59年中村和臣(阪神=165センチ)以来53年ぶりの先発勝利となった。中村は59年9月9日中日戦(中日)で先発し6回1/3を5安打1失点で勝ち投手になっている。