阪神鳥谷敬内野手(31)が今季取得した海外FA権について、すべての可能性を残していることが1日、分かった。虎残留かメジャー挑戦か、現時点では完全に「白紙」。シーズン終了後から全可能性の熟考に入る。阪神はすでにツインズを自由契約になった西岡剛内野手(28)の獲得が決定的な情勢だが、生え抜きスターの流出阻止は最重要命題の1つ。野手キャプテンの動向に注目が集まる。

 鳥谷はまだ、どちらの選択肢にも傾いていなかった。今季8月に海外FA権を取得。グラウンドで戦っている最中ということもあり「まだ本当に何も考えていない。考えるのはシーズンが終わってから」と話すにとどめている。シーズン終了後から本格的に熟考を開始するスタンスだが、現状は「どっちに(傾いている)とかもない」。FA権行使の有無も含め虎残留、メジャー挑戦など、すべての可能性を視野に入れていることが分かった。

 虎の生え抜きスターとして9年目を迎えた。一流プレーヤーに育ててくれた球団への感謝、愛着はもちろんある。その一方で長年胸に抱く、メジャーへの憧れもある。虎のリーダーとしてV奪回を狙うのか。日本人内野手に厳しい風が吹く中、あえてメジャーに挑戦するのか。現状は完全に「白紙」の状態だ。

 米大リーグ関係者によれば、すでにダイヤモンドバックス、マリナーズなどが鳥谷の本格調査を開始済み。9月上旬にはインディアンス、ツインズのスカウトが「打撃練習も見たい」と通常練習にも熱視線を送った。一方、国内にも水面下で動向を調査している球団が存在する。鳥谷は昨オフ、国内FA権を行使せず、残留を選択。今オフ国内チームに移籍する可能性は限りなく低いが、阪神にとって難敵は少なくない。

 球団はツインズを自由契約になった西岡に早速ラブコールを送り、獲得が決定的な情勢となっている。西岡は二遊間に加えて三塁も守れ、鳥谷との共存はもちろん可能。球団側は西岡獲得へ動くと同時に、野手キャプテンでもある虎のリーダー流出阻止へ、当然ながら全力を注ぐ構えだ。

 昨季まで2年連続で打率3割を達成。今季は本来の実力を出し切れていない中、両リーグ断トツの94四球。打率に打点、出塁率、安打数でもチームトップの数字を記録している。金本、城島がいなくなる阪神にとっては、間違いなく欠かせない男だ。シーズンは残り3試合。まもなく熟考期間がスタートする。虎残留かメジャー挑戦か…。鳥谷の心がどちらに傾くのか、注目が集まる。