低迷の虎に、粛清の嵐が吹いた。阪神は2日、兵庫県芦屋市内のホテルで小林宏投手(34)や蕭一傑投手(26)ら8選手に戦力外を通告した。蕭一傑はプロ4年目のドラフト1位入団だが容赦しなかった。コーチ陣の解体に続き、最近では異例の大量解雇で血の入れ替えを敢行。チーム再建の決意をにじませた。

 2年連続Bクラスという結果は、残酷な事態を引き起こした。芦屋市内のホテルで行った戦力外通告には高野球団本部長とともに中村GMも同席。ここで非情の決断が明らかになった。FA加入した小林宏やドラフト1位の蕭一傑、プロ3年目の外野手甲斐、ガッツが売りの野原祐ら合計8選手。最近では例を見ない大量解雇だった。同球団本部長は厳しい表情で振り返った。

 「来季に向けて、厳しい選択を迫られた。現状5位ということで、来季へむけてやむなし、ということです」

 昨年よりもチーム状況は悪化し、現時点でリーグ5位。暗黒時代の再来とも言われている。粛清の「嵐」が起きるのも当然だった。有田ヘッドや片岡打撃コーチが今季限りで辞任を申し入れ、主要ポストのほとんどが入れ替わる「内閣大改造」が終わったばかり。次の矛先は、選手に向けられた。

 これまでの阪神でドラフト1位の選手がプロ4年目で退団するケースはまれ。蕭一傑は今季1軍登板なく、プロ未勝利でタテジマを脱ぐことになった。「今年は一番成績が悪かった。実力の世界なので、当たり前だと思う」。競争社会の現実を受け止めるしかなかった。戦力外メンバーには1年目に2勝した石川の名前もあった。FA獲得した小林宏も含め、結果を残さない者には厳しい措置が下された。

 「予告」はあった。昨年12月の新人研修で南球団社長はこう宣言していた。

 「プロに入って3年というのが区切りになる(高卒も)もちろん同じ。3年というのが1つの区切り。のんびりやっている暇はない」

 ルーキーを対象にした研修だったが、他の選手も同様だった。上昇期にあるチームならば寛容だった面もあるが、今は違う。中村GMが就任し、改革実行まで残された時間は多くない。星野監督が1年目を終えた02年オフには引退した3選手も含め、19人の退団者が出た。今季も現役引退の金本、城島や解雇が決定的なブラゼル、戦力外の鄭凱文を加えると、すでに12人に膨れあがった。第2次戦力外の可能性について、高野球団本部長は「今の所は何とも言えない」と否定してなかった。猛威を振るう粛清の先に、チーム再建は実現するのだろうか。【田口真一郎】